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アニメーション界の巨匠・宮崎駿監督、引退…会見の主な一問一答

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引退会見を行った宮崎駿監督
引退会見を行った宮崎駿監督

 公開中の映画『風立ちぬ』をもって長編映画制作からの引退を表明した宮崎駿監督が6日、都内で引退会見を行った。同会見には宮崎監督のほか、スタジオジブリ鈴木敏夫プロデューサー、星野康二社長も出席し、約1時間半にわたって質疑応答を実施した。

宮崎駿監督、引退会見フォトギャラリー

主な質疑応答は以下の通り。

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Q:長編の監督から引退という認識でいいのか? また、今後の予定は?
宮崎:ここ(公式引退の辞)にわれながらよく書いたなと思ったんですけど、「ぼくは自由です」と書いたので、やらない自由もあるんです。ただ、車が運転できるかぎりは毎日アトリエに行こうと思っています。それで、やりたくなったものや、やれるものはやろうと思います。まだ休息を取らないといけない時期なので、休むうちに何かわかってくる。ここで約束するとたぶん大抵破ることになる。そういうことでご理解ください。

Q:今回の引退は本気とのことですが、今まででは何が一番違うのか?
宮崎:公式引退の辞に書かれていますけれども、『風立ちぬ』というのは『崖の上のポニョ』から5年かかっている。その間、映画を作り続けていたわけではなく、シナリオを書いたり、道楽のための漫画を描いたり、あるいは美術館の短編の監督をやるとかしましたが、やはり5年はかかるんです。

 次の作品を考えるとなると、この年齢ですから5年では済まないでしょう。そうすると、次は6年かかるか、7年かかるか。あと3か月もすれば73歳になりますから。7年かかると80歳になってしまうんです。僕はこの前、文藝春秋の元編集長だった半藤一利さんという方とお話ししてですね。83歳でしたが、背筋が伸びて頭がはっきりしていて、本当にいい先輩がいると思った。僕も83歳になって、こうなっていたいなと思ったんです。それで、僕は「あと10年は仕事を続けます」と言っているだけでして。続けられたらいいなと思っているのですが、それでも今までの延長線上には自分の仕事がないと思います。僕の長編アニメーションの時代ははっきり終わった。もしやりたいと思っても、それは年寄りの世迷い言であると片付けようと決めています。

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Q:引退を鈴木プロデューサーと正式に決めたのはいつか?
宮崎:よく覚えていないんですが、「鈴木さん、もうだめだ」と僕が言ったら、鈴木さんが「そうですか」と。それはもう何度も繰り返したことなんで、そのときに鈴木さんが信用したかはわかりませんが、ジブリを立ち上げたときに、こんなに長くやるつもりがなかったのは確かです。ですから、何度も引きどきなんじゃないかとか、もうやめようという話は二人でやってきました。だから、今回は次に7年かかるかもしれないというぼくの言葉に、鈴木さんもリアリティーを感じたんだと思います。

Q:最も思い入れのある作品はなんでしょうか? また、全ての作品に共通するメッセージがありますか?
宮崎:一番自分の中のようにトゲのように残っているのは『ハウルの動く城』です。ゲームの世界なんですよ。でもそれをゲームではなくドラマにしようとした結果、本当に格闘しました。まあ、スタートが間違っていたと思うんですけど。自分の立てた企画なので仕方ありません。

 僕は児童文学の多くの作品に影響を受けて、この世界に入った人間ですので。児童文学にもいろいろありますけれども、基本的に、子どもたちに「この世は生きるに値するんだ」というのを伝えるのが自分たちの仕事の根幹になければいけないと思っていました。それは今も変わっていません。

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Q:これまでの長編アニメのキャリアを振り返ってみて。
宮崎:その総括はしていません。自分が手抜きしたとかいう感覚があったらつらいとは思うんですけど、とにかくたどりつけるところまではたどりついたと思っていたので、終わった後はその映画を観ませんでした。だめなところはわかっているし、いつのまにか直っているということも絶対にないんで、振り向かないようにやっていました。そして、同じことはしないつもりでやってきました。

(編集部・福田麗)

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