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ちいさな独裁者 (2017):映画短評

ちいさな独裁者 (2017)

2019年2月8日公開 119分

ちいさな独裁者
(C) 2017 - Filmgalerie 451, Alfama Films, Opus Film

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 5

なかざわひでゆき

ドイツ人がドイツ政府の助成金でこの映画を作ったことに感服

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 まこと冗談のような実話だ。第二次大戦末期のドイツ。脱走兵の若者が偶然見つけたナチス将校の軍服を盗み、苦し紛れに総統の密命をおびた大尉を名乗ったところ、なんと皆が信じてしまう。棚ボタで手に入った権力に陶酔していく若者、その言動を疑問視しつつ「制服」と「総統」の御威光に盲従する兵士たち。この最凶タッグがやがて暴走して大量虐殺を引き起こす。権力に相応しくない者が権力を持った時に声をあげて阻止せねばどうなるのか、平凡な人間がその平凡さゆえにどれだけ残酷になれるのか思い知らされる。あの時は仕方なかった…なんて言い訳は通用しない。ましてや、この紋所が目に入らぬか!でひれ伏すような気構えではダメなのだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

悲惨な状況なら、誰だって残虐になるかも

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

敗戦が迫るドイツで起きたなりすまし事件の映画化だが、犯人の残虐さがすさまじく、タランティーノ映画もひれ伏すほど。SS将校の権威もさることとながら、虎の威を借りた狐にしがみつく人間の弱さや愚かしさが痛々しい。人間を狂気に駆り立てる戦争の恐ろしさに怯えつつ、一歩間違えれば自分だってそうなりかねないと自戒しながらスクリーンに見入ってしまう。エリート軍人の制服を手に入れ、凶暴性を研ぎ澄ましていく主人公ヘロルトが童顔なのでなおさら気味が悪い。スイス人俳優M・フーバッヒャーの怪演は見逃せないし、彼を取り巻く俳優陣も人間性が破壊されていく状況をリアルに熱演。世界各国がきな臭い今こそ見るべき作品だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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