ミルクマン斉藤

ミルクマン斉藤

略歴: 映画評論家。1963年京都生まれ。デザイン集団「groovisions」の、唯一デザインしないメンバー。現在、京都・東洞院蛸薬師下ルの「三三屋」でほぼ月イチ・トークライヴ「ミルクマン斉藤のすごい映画めんどくさい映画」を開催中。雑誌「テレビブロス」「ミーツ・リージョナル」「キネマ旬報」等で映画コラムを連載中。

ミルクマン斉藤 さんの映画短評

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  • 首
    景気よく首が飛びまくります。
    ★★★★★

    いやあ、タイトル通り、映画史上超級の首チョンパ映画だろう。それはもはやギャグ同然。本能寺の変に至る過程を描いているんだが、そこに武士の衆道(要するにホモセクシュアル)を絡めてきたり、最近、ドラマや映画で新しい光が当てられまくっている明智光秀(西島秀俊、ただし、信長への思いは『レジェンド&バタフライ』と少しく似ている)はじめ、尾張弁でまくしたて、家臣にも残虐な行為を平気でやってのける史上最狂の信長(加瀬亮)など、女っ気ひとつない作劇も北野らしい。木村祐一演じる曽呂利新左衛門も相当にいい味。ま、たけし演じる秀吉は齢取りすぎな感じはするが。

  • サタデー・フィクション
    キモとなるのは横光利一の小説「上海」。
    ★★★★

    作品的には常に挑戦的、というか国家にケンカ売ってる感じがしなくもない中国インディ界の雄ロウ・イエだが、本作は第二次世界大戦直前の上海を舞台にしたオールスター・スパイ映画だ(もともと彼は上海生まれで、その地を舞台にすることが多い)。諜報戦にガン・アクション、そしてちょっとしたメタ構造。全編美しいモノクロ映像に複雑な群像劇を絡めたアーティスティックな映画になっている。正直、中盤以降の物語は整理がつかなくなってけっこうハチャメチャなんだけど、編集リズムとキャメラ・照明の美しさが際立ってどうでもよくなる。映画なんてそんなものさ。かつて「魔都」と呼ばれた上海マジックそのものだ。

  • ゴジラ-1.0
    ゴジラ史上、一、二を争う傑作。
    ★★★★★

    最初の『ゴジラ』は戦後復興が途上に乗ったリアルタイムを舞台とし、爆と放射能への危機感と、再び東京が焦土となる恐怖、それから戦争で命を落とした人間たちの怨念の塊…いわば祟り神としての「ゴジラ」という存在を想わせる含みの多い作品だったが、今回はその原点に戻り、非常にドラマ性が強い作品になっている。ことに神木隆之介は戦争のトラウマから女性を愛し抜く自信もないが、生き残った帰還兵も然り。彼らが新しい脅威に立ち向かうさまは『永遠の0』『アルキメデスの大戦』に続く、山崎貴流「東宝8.15シリーズ」の一篇的色彩が濃い。佐藤直紀がここぞ、というシーンで、直接の先生・伊福部昭の音楽を響かせてくれるのも快感。

  • ポッド・ジェネレーション
    風刺的コメディぽくもあるが笑えない。
    ★★★★

    子供を玉子のようなポッドの中で育てることができるようになった、なんでもAI化された未来の話。出世を求めるビジネスウーマンと自然を愛する植物学者の夫。この二人が感化されることになるAIセラピストは目だけの存在だし、そこここに現れるアイテムも眼球だけだ。それが子宮センターという巨大企業に呑み込まれた監視社会を思わせる。と言って、ことさらにフェミニズムに傾くこともなく中立的な立場を保持しているのだけれども、母性と父性の問題を扱うにしてはいささか安易すぎないか。ラストの肩すかしは一体何なんだろう。どこか60年代70年代のショートショートSFを思わせ、懐かしさと同時に古臭さも感じさせる作品。

  • ペルリンプスと秘密の森
    想像を刺激するファンタジーSF。
    ★★★★

    狼に似た太陽の王国&熊に似た月の王国の子供二人のエージェントが地球にやってきて森の救世主を探し求める物語。彼らから見た人間の世界は常に戦争にまみれていてそのあたり現在に繋がるいつにも変わらぬ戦いの様相を描いているが、そこも含めエコロジーに関する言及は月並みかも。背景はルネ・ラルー『ファンタスティック・プラネット』等を思わせる異世界的造形、その中で躍動するキャラはカートゥーン的でなかなか異質。ペルリンプスが一体何であるのかというのは最後まで語られないが、そこは見るものによって考えるしかない。ミルトン・ナシメント、カエターノ・ヴェローゾ等のブラジル音楽が流れなければどこの作品か判らないくらいだ。

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