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ボヘミアン・ラプソディ (2018):映画短評

ボヘミアン・ラプソディ (2018)

2018年11月9日公開 135分

ボヘミアン・ラプソディ
(C) 2018 Twentieth Century Fox

ライター7人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.1

猿渡 由紀

良くも悪くも小綺麗にまとまっている

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

撮影中に監督交代劇のドタバタがあったわりには、不自然さなくまとまっている。ただ、良くも悪くも小綺麗で、伝記映画としてはありきたりだ。実験的なことを恐れずにやった人物の伝記映画が型通りというのは、皮肉というか、むしろ侮辱ではないか。PG-13指定という制限があるにしろ、ドラッグやセックスの描写は恐る恐るという感じで、後に彼の体に起こることが唐突にすら感じられる。クイーンの音楽はもちろんすばらしく、それら名曲が生まれた背景のこぼれ話はおもしろい。ラミ・マレックも良い演技をしている。それだけに、もっと深い映画になれたかもしれないのにという気持ちが拭えない。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

実話ものだけど、青春ドラマとしても見応えあり!

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

タイトルにもなった曲はオペラ的で、艶やかで、華々しく、ロックの概念に風穴を開けた名曲。そんな曲を作ったフレディ・マーキュリーをR・マレックが熱演する。カリスマティックな天才という難役だが、マレックが彼独特の個性をちゃんと反映させているのは素晴らしい。「クィーン」の紆余曲折やメンバー間の確執と和解などは知られている逸話の組み合わせだが、そこが青春ドラマっぽくて個人的には共感度大。ラストは心の中でガッツポーズ! B・シンガー監督はフレディのセクシュアリティに比重を割きすぎだし、事実と違うのではと思う部分もあったが、B・メイがプロデューサーなのだからと納得。もちろんサントラが欲しくなります。

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平沢 薫

クイーンの音楽が大画面に似合って気持ちいい

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 クイーンの物語というよりは、かつて同性愛に悩む若者だったブライアン・シンガー監督が、フレディ・マーキュリーという題材を得て、一つの神話を描いたもの。神話なので、史実よりも輝きを優先して描かれる。
 さらに"歌"に物語を語らせる。出来事と彼らの曲が同期するように作られているのだ。歌詞はみな字幕付きなのでよく分かる。
 そしてそんなことは気にしなくても、クイーンの音楽が大画面と大音響によく似合う。それを再認識させてくれて気持ちいい。特に85年のライヴエイド場面は、映像が発する熱量が圧巻。もう一つ、思わず目を奪われるのがフレディ役ラミ・マレックの動き方。あまりに完璧なコピーぶりが感動ものだ。

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相馬 学

当時は知らなかった、意外な事実にドラマの妙アリ

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 1985年のチャリティ・コンサート、LIVE AIDのベストアクトがクイーンであったことはロックファンの共通認識。さほどファンではなかった筆者も深夜にTVでそれを見たときは感動した。

 そんな記憶を呼び起こすも、ロックファンのためだけの映画ではない。サクセスストーリーにして不和やジェンダーの苦悩を描いたドラマであり、何より音楽の美しさが映えるエンタテインメント。

 驚いたのは、LIVE AIDの際にはフレディが、すでに自分がHIVであるのを知っていたこと。渾身のパフォーマンスの裏に当時は知らなかった、そんな事実があったとを思うと泣ける。ステージの再現性の高さを含めて、力作。

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くれい響

今年公開の音楽映画で、間違いなく最高峰!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

人種問題と戦い、音楽業界と戦い、HIVと戦った一人の男の軌跡を追った135分。ツボを押さえたエピソードの数々に、キャストのムチャクチャ高い再現率。今年公開されたミュージカル・音楽映画の中でも、間違いなく最高峰といえる。特殊メイクのマイク・マイヤーズが、後の『ウェインズ・ワールド』ネタを振る展開もスゴいが、やはりラストに控える「ライヴ・エイド」ステージ、ほぼ完コピ。それまでのドラマを踏まえ、このセトリを振り返れば、号泣必至。そして、助っ人で入った子役出身のデクスター・フレッチャー監督の手腕に拍手。これなら、次回作となるエルトン・ジョンの伝記『Rocketman』も期待できる!

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森 直人

あまりの素晴らしさにびっくり!

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

製作過程でのニュースを受け、鑑賞前は不安しかなかったのが正直なところ。それだけにこのエモさ、役者の凄さ、完成度に驚いてしまった。ブライアン・シンガーの撮影終了直前の降板は健康上の理由と伝えられているが、それは全力を出し切った結果ではないか?と勝手に想像してしまう。

本作の重要な試みは二つあると思う。まずは映画自体をロックオペラ的に作ること。大ぶりの演劇性がハマっている。そしてメガ大衆バンドのイメージが強いクイーンの先端性を「今」だからこそ浮上させること。フレディ・マーキュリーのマイノリティ意識は誰よりもハードコアで、その個性を具現化するチームとして完璧だった事が改めてよくわかった。拍手!

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斉藤 博昭

クイーンのファンなら、身悶えし続け、むせび哭くことだろう

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

もっと突っ込んでほしい部分もあるが、それは贅沢というもの。クイーンとフレディに重要な瞬間はじっくり見据え、伝説を復活させる映画として充実の仕上がり。監督が途中で現場を離れたにもかかわらず、監督らしい映画にもなったのも奇跡的。

メンバー4人を演じたキャストが、立ち方や表情、仕草の徹底研究で、信じがたいレベルの再現度を達成。安易なそっくり演技ではなく、最も難しい「場の雰囲気」を成功させている。

「愛にすべてを」が2回流れる理由もテーマを鮮明にし、マイク・マイヤーズの自虐ネタなども的確。そしてライブ・エイドのシーンで、クイーンのファンは今日まで生きてきて、この映画に出会えた幸福に浸ることになる。

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