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クソ野郎と美しき世界 (2017):映画短評

クソ野郎と美しき世界 (2017)

2018年4月6日公開 105分

クソ野郎と美しき世界
(C) 2018 ATARASHIICHIZU MOVIE

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 2.3

清水 節

新しい地図を手にしても、読み方すらままならない姿こそが現実

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

 これを「映画」と呼ぶのは酷だ。元国民的アイドル3人が個々に再始動するにあたり、広告業界主導で企画された、コンテクストマーケティングに基づく“ストーリー性のあるプロモーションフィルム”の集積と呼ぶのが正確なところ。逃走・彷徨・喪失、そして再生の祝祭。隠喩だらけのシュールな物語に包んだものの、コンセプトの骨組みはあからさま。粗野でありながらリリカルな太田光作品が頭ひとつ抜け、企画自体への批評精神も感じさせ、最も映画を志向している。新しい地図を手にしても、方角はおろか読み方すらままならない草彅剛の姿こそが路頭に迷う現在そのものであり、不安と希望が入り混じる彼らの旅立ちが象徴的に視覚化された瞬間だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

勢いとチャレンジ精神と、やっつけ感と物足りなさと…

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

企画から完成が短期間だったため、随所で作品を撮る「勢い」が伝わる。ただし、全体的に「やっつけ感」が際立つのも事実。明らかに笑いをとろうとする会話や演出がうまく機能せず、ややサムくなるケースが多発し、稲垣パートでの「ヒロインの魅力」や香取パートの「(ファンなら知ってるが)彼にとっての歌の必要性」という、設定における重要部分の描き方不足など、構成がチャレンジングなだけに、もう少し綿密に作れば傑作になった可能性も。

本人と同じ役名や、新たな門出にエールを送るまとめ方など、今では絶滅しつつある「アイドル映画」の定型も踏む今作。その意味で3人のファンには★★★★、それほどでもない人には★あたりか。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

明らかに1話だけ浮いている。

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

イベントムービーとして、監督は自身の作家性より、「新しい地図」の3人を引き立たせるのは当然だろう。そう考えると、香取慎吾があのヒット曲が歌えなくなる山内ケンジ監督作や、草彅剛が「任侠ヘルパー」の彦一を思い起こさせるキャラを演じる太田光監督作は、観たかった彼らの姿だ。かつ、“失くしたものを探す”テーマも、グッとくるものがある。さらに、SMAP「華麗なる逆襲」のMV監督だった児玉裕一が「最終話」を担当したことも感慨深い。一方、『アンチポルノ』の悪夢が甦る冒頭から、相変わらずのマスターベーションで押し切ろうとする園子温監督作の酷さが際立つ。主演ながら出演カットが少ない稲垣吾郎もファンも気の毒だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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