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ドワーフに潜入!「サバイバル・ウェディング」こま撮りパートはこうして作られた

波瑠演じるさやかの妄想パート。ポッと赤くなる頬には人間用のチークを使用しているのだとか
波瑠演じるさやかの妄想パート。ポッと赤くなる頬には人間用のチークを使用しているのだとか - (C)日本テレビ

 波瑠主演の日本テレビ系ドラマ「サバイバル・ウェディング」(毎週土曜22時~)で、毎回登場するヒロイン・さやかの妄想パート。こま撮りアニメーションで描かれるこのシーンを、NHKのキャラクター「どーもくん」などで知られるこま撮りアニメーションスタジオ「ドワーフ」が手掛けていることをご存知だろうか。ドラマの進行スケジュールに合わせるため、制作メンバーの人数、時間などあらゆる面で「最小」に挑んだ裏側を、こま撮りアニメーション作家・合田経郎氏が明かした。

【写真】「サバイバル・ウェディング」こま撮りパート撮影中の模様

サバイバル・ウェディング
合田経郎監督

 30歳の誕生日に寿退社するはずが辞職した夜に恋人に婚約を破棄され、「半年以内に結婚」「婚活コラムを雑誌で連載」を条件に、毒舌・ナルシストな雑誌編集長・宇佐美(伊勢谷友介)のもとで働くさやか(波瑠)の奮闘を描く本作。その過程で、さやかが思いを寄せる広告代理店勤務のさわやかイケメン・祐一(吉沢亮)を中心に、めくるめく妄想が度々展開する。ドラマの制作サイドは、この妄想パートを実写とは違う方法で表現したいと考え、こま撮りアニメを専門とするドワーフに白羽の矢が立った。

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サバイバル・ウェディング
人形の目をピンセットで貼りかえ中の峰岸裕和氏

 2009年に放送された朝ドラ「ウェルかめ」のオープニングアニメーションを手掛けたことはあるが、ドワーフがドラマの劇中アニメに着手するのは初めて。通常であれば、朝から晩までかけて撮れるのが一日わずか3、4秒というのがこま撮りアニメーションの世界だが、ドラマとなるとそうはいかない。制作メンバーも通常の半分の人数。「どーもくん」「こま撮りえいが こまねこ」などで知られるストップモーション・アニメーターの峰岸裕和氏と監督の合田氏のほか、アニメーターアシスタント、照明、美術、制作担当の計6名。合田氏は今回に限ってカメラマンも兼任した。

 「ドラマのシナリオが、撮影の3日前ぐらいに上がることもあるそうなんです。そうすると間に合わないので、妄想パートのみ先にシナリオを上げていただいて、1日で15秒、20秒撮ってしまおうと。我々にとっては大冒険ですが、そういった制約が始めにあって、その中でできることって何だろうと考え、こけしのような人形にしてしまおう、セットも簡略化しようといったふうに、思い切れたというのもあります」

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サバイバル・ウェディング
さやかの目のパターン

 その「こけしのような」ビジュアルが独特だが、どのようにして生まれたのか。しかも、顔には眉毛も口もなく、あるのは目と鼻だけ。「通常の人形は首、肩、ひじ、手首、腰、股関節、膝、足首と人間と同じような稼働ができるようになっていて、それによっていろんな表情、ポーズが豊かになるんですけれど、それをやっていると時間がないので首だけにしてしまいました。にょきっと手が生えるシーンもあるんですけど、基本的に動くのは首と目だけです。眉毛、口も省き、まばたきするときには丸い目から半月型に張り替えて、次は切った爪みたいに細くして……といろんな目のパーツを用意して変化をつけました」

サバイバル・ウェディング
左から祐一、さやか、宇佐美。宇佐美の前髪はちゃんと本人と同じくパッツンに!

 今回、重要だったのは「リアル」な表現から離れることで、合田氏は「一枚のイラストとしてかわいらしく見えることを前提に考えました」という。例えば第3話の妄想パートのシナリオに書かれていたのは「バーカウンター」という舞台設定のみだった。「小さなお酒の瓶を作って並べることもできるんですけど、そうするとリアリティーに寄ってしまうので、そうではなくて背景をお酒の瓶の形に切り抜いて、後ろから光を当てて影絵の世界のようにするのはどうかと」

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サバイバル・ウェディング
第3話でパーティー会場でさやかが祐一に会いに行く妄想パート

 その結果、まるで童話の絵本のような不思議な世界観が生まれた。一方でこの第3話には後日談が。妄想パートが先に出来上がり、その後でドラマのパーティー会場のロケ地を決定したため、イメージに齟齬があり整合性をとる苦労も。「実際に使われた会場は、イメージされていたよりもずっと明るい場所だったので、こちらも急きょ画像を明るく調整していくということをやったりもしました」

 どんなに制作スケジュールがタイトであろうと、決して「楽しむこと」を忘れないのがドワーフの精神。ドラマの妄想パートにはそんな精神がダイレクトに反映されているかのように、温もりにあふれ豊かな世界が広がっている。(取材・文:編集部 石井百合子)

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