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前田敦子が自分の色に悩んだ時期 ウズベキスタンで振り返る

日本、ウズベキスタン合作映画『旅のおわり、世界のはじまり』でウズベキスタンを訪れた前田敦子
日本、ウズベキスタン合作映画『旅のおわり、世界のはじまり』でウズベキスタンを訪れた前田敦子 - (C)2019「旅のおわり、世界のはじまり」製作委員会/UZBEKKINO

 女優の前田敦子が、3度目のタッグとなる黒沢清監督の新作映画『旅のおわり、世界のはじまり』でウズベキスタンの地を訪れた。「半分ドキュメンタリーだなと感じる」という本作で前田が演じるのは、バラエティー番組の収録で異国を訪れ、人生の岐路に立つ女性レポーター。かつてAKB48のカリスマアイドルとして活躍し、悩む時期もあったという前田が、ヒロインを通して自身を振り返った。

『旅のおわり、世界のはじまり』撮影現場公開

 「例えば現地レポートのシーンでは監督から『自分が思ったことを言ってください』と指示を受けたこともあって。だから半分わたしのままな時もありましたし、わたしが見たものを映そうとしてくださる時もあり、不思議な撮影をたくさんしました」とウズベキスタンロケを述懐する。黒沢監督との交流は、実現に至らなかった日中合作映画『一九〇五』以来、約6年に及ぶ。その間、同監督の全編ロシア・ロケによる中編作品『Seventh Code セブンス・コード』(2013)、ヒロインの妹を演じた『散歩する侵略者』(2017)に出演している。

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『旅のおわり、世界のはじまり』メイキング

 「監督とはちょこちょこお会いする機会があって、舞台やライブがあるといつもご夫婦で見に来てくださって。今回は『ウズベキスタンといえば前田敦子かなって思いました』とって言われて、どうしてかなと思ったんですけど(笑)、呼んでいただけてうれしかったです」。

 前田演じる葉子は、女性レポーターとしての自分に迷いを感じている役どころ。前田にとって自身と重なる部分が大いにあったという。「AKB48を卒業してから約7年。AKB48と女優のキャリアが半々ぐらいになるので、今はもう抜けられたかなと思いますし、幸せだなと思えるところまで来られたと思うんですけど、卒業前後2,3年は迷い続けていました」

 アイドルの傍ら女優としても活動していた時期には、自分の色を模索し続けていた前田。「アイドルと女優は全く違うものなので、映画やドラマの撮影現場に入った時にどういうふうに居ればいいのかも分からず、溶け込めている感覚がまったくなかったですね」

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メイキングその2

 そんな前田を変えていったのは、『苦役列車』(2012)『もらとりあむタマ子』(2013)の山下敦弘や『モヒカン故郷に帰る』(2016)の沖田修一、『素敵なダイナマイトスキャンダル』(2018) の冨永昌敬監督、そして黒沢清ら名だたる監督たちとの幸運な出会いだ。「自分で何かを切り替えたというわけではないんですけど、才能ある監督たちの撮影現場で役者さんたちと接する機会もどんどん増えていって、みなさんが染めていってくださったように感じます」

 本作で前田はバラエティー番組のレポーターとして数々の体当たりのシーンに挑んでおり、監督を「胸が苦しい」と言わしめるほど過酷さを極めることも。それでも「黒沢監督には『できません』とは絶対に言いたくないんです」ときっぱり言い放った前田の強いまなざしには、女優としての揺るぎない信念が垣間見られた。(取材・文:編集部 石井百合子)

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