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ジョニー・トー監督、アジア映画修復プロジェクトに感謝

デジタル修復された作品を受け取るジョニー・トー監督(右)とウディネ・ファーイースト映画祭プレジデントのサブリナ・バラチェッティ
デジタル修復された作品を受け取るジョニー・トー監督(右)とウディネ・ファーイースト映画祭プレジデントのサブリナ・バラチェッティ

 黒澤明監督のデビュー映画『姿三四郎』(1943)にオマージュをささげたジョニー・トー監督の『柔道龍虎房』(2004)がデジタル修復され、このほど北イタリアで開催された第20回ウディネ・ファーイースト映画祭でワールドプレミア上映された。同映画祭プレジデントのサブリナ・バラチェッティから作品のハードディスクが入ったケースを手渡されると、トー監督は「映画祭に感謝します」と笑顔で受け取った。

 同映画祭では昨年よりボローニャのフィルム修復・保存ラボ「イマジネ・リトロヴァータ」と共同でアジア映画の遺産を蘇らせる修復プロジェクトを実施しており、第1弾として、中国返還直前の香港が刻まれたフルーツ・チャン監督『メイド・イン・ホンコン/香港製造』(1997)の4Kレストア・デジタルリマスター版を製作。中国返還20年の歴史と香港映画の足跡を振り返る契機となった。

柔道龍虎房
『姿三四郎』にオマージュを捧げた『柔道龍虎房』より - By: Far East Film Festival FEFF

 『柔道龍虎房』も、『エレクション』(2005)や『エグザイル/絆』(2006)などガン・アクションに定評のあるトー作品の中で、銃ではなく柔道で決着を付ける異色作。かつては柔道で将来を期待されるもクラブの雇われオーナーとして自堕落に生きるシト・ポウと、彼に遺恨持つトニー、そしてスターに憧れる女性シウモンの3人が、闇社会から脱却し前を向いて歩き出すまでの群像劇だ。

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 クライマックスでは姿三四郎と檜垣源之助がススキ草原で対決するシーンを再現するなど、黒澤作品がいかに今活躍している巨匠たちに影響を与えたかがうかがい知れる。また1979年の竹脇無我版『姿三四郎』の姿憲子が歌った同名主題歌が何度も流れ、日本人の郷愁をもそそる。そして香港映画ファンにとっても、ルイス・クーアーロン・クォックレオン・カーフェイのイケメンスター俳優が“競演”するお宝映画としての価値も高い。

 同映画祭では今後も修復プロジェクトを継続していく意向で、すでに来年に向けて動き始めているという。(取材・文:中山治美)

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