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町山智浩も大ショック 名作『七人の侍』が指摘された問題点

『七人の侍』について語った町山智浩
『七人の侍』について語った町山智浩

 映画評論家の町山智浩が22日、TOHOシネマズ日本橋で行われた「午前十時の映画祭7」内特別企画「20世紀名作映画講座」に、映画史・時代劇研究家の春日太一氏と共に出席。この日は黒澤明監督の代表作『七人の侍』フル4Kデジタルリマスターが上映され、町山は「聞き取りにくい」といわれた登場人物のセリフが聞きやすくなったと指摘した。

 セリフの聞き取りづらさから、初公開時に日本語字幕を付けようというアイデアが出たというエピソードもある本作。町山も上映後、マイクを手に客席の感想を聞いて回る中で若い観客からその点を指摘され、「この映画を初めて観たのは1974年から1975年ごろですが、セリフが聞き取りにくいというのは、当時の僕も大ショックでした」と納得の表情。さらに「その後テレビで放送した時、じゃあテレビだと聞き取れるのかと思ったらこれも全く聞き取れませんでした」と苦笑い。

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町山智浩と春日太一氏

 春日氏も「当時の『キネマ旬報』を読むと、多くの評論家、特に黒澤否定派の評論家が真っ先に否定したのは、やっぱりこのセリフが聞き取りにくいという部分。『羅生門』からずっと、黒澤はそれで批判され続けてきたんです」と紹介。町山は特に公開当時から与平役の左卜全のセリフが聞き取れないことが話題だったといい、「だから当時、この映画のシナリオ集が売れたんですよ。シナリオを読まないと何言っているかわからなかった」と説明する。

 その上で春日氏は「今回の(リマスター)で(菊千代役の)三船敏郎の声がだいぶ聞き取りやすくなりましたね」と指摘。これに町山が「三船さんの長ゼリフがあって、そこが一番感動的なんですけど、今まで聞き取れなかったんです」と補足すると、春日氏は「三船のセリフも聞き取りにくいというのは自分の中にもずっとあった。それが隔世の感があった。ちゃんとセリフが聞けるのは嬉しかった」とリマスターの成果を強調。かつてジョン・ベルーシが、『1941(いちきゅうよんいち)』で共演した三船の滑舌の悪さをまねていたことを紹介しつつ、「ベルーシはかなり正確だったということなんですね。まさにあんな感じだったんです」とコメントしていた。(取材・文:名鹿祥史)

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