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知識ゼロでも全然OK!『猿の惑星』完全新作はココがすごい

猿の惑星
『猿の惑星』未見でも楽しめる完全新作とは?

 映画史に残る名作SF『猿の惑星』シリーズの完全新作猿の惑星/キングダム。猿vs人間の新たな物語を描く完全新作とあって、これまで『猿の惑星』を一度も観たことがない人でも楽しめる入門編になっている。『猿の惑星』の魅力を改めておさえつつ、初心者とシリーズファンそれぞれに向けた新作の注目ポイントに迫る。

猿と人間の立場が逆転!斬新な作品設定がスゴイ

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猿と人間、共存の道は…

 『猿の惑星』は、猿と人間の立場の逆転といった色あせる事のない卓越した作品設定が魅力だ。舞台は、猿が高度な文明を築いて地球の支配者となり、人間は猿に支配される側となった世界。この世界の人間、そして猿の行動を通して、現実世界の人の傲慢さと愚かさが浮き彫りにされていく。また、違いがあることで対立してしまう人間と猿の関係は、差別や偏見のメタファーにもなっている。

 この基本設定は『猿の惑星/キングダム』に限らず、過去の全作品に共通している。オリジナル版の『猿の惑星』(1968)から『最後の猿の惑星』(1973)までの5作品は、その逆転した世界に遭遇した人間と猿たちを描いたもの。2010年代に製作された『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』(2011)から『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』(2017)の三部作は、立場の逆転がどのようにして誕生したのか、逆転世界の始まりが明かされた。

 そして、完全新作『猿の惑星/キングダム』が描くのは、今から300年後を舞台にした新たな登場人物たちの物語。作品によって時代は異なるが、人間と猿の立場が逆転した世界という設定と、それを通してリアルな世界の人間の傲慢さを描くというテーマは共通で、今回の新作にも貫かれている。

強すぎるボス猿!人間と猿は共存できるのか…

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人間を排除しようとする冷酷な独裁者プロキシマス・シーザー

 『猿の惑星/キングダム』の登場キャラクターの中でも注目なのは、強大な帝国を築こうとする冷酷な独裁者、プロキシマス・シーザーだ。予告編で「進化は我々、猿を選んだ。そして私が支配者になる」と野望を語る姿は、優れた知性だけでなく、秘めた凶暴さを感じさせて恐ろしい。彼は、この世界を支配する王になるという大きな野望を持っており、その実現のため、人間を狩るだけでなく、猿たちをも独裁的に支配し、彼らを服従させて過酷な労働を強制している。

 そんな状況の中で、新たな主人公となる若き猿・ノアが、人間と共存する可能性を考えるようになるが、絶対的権力者を目指すプロキシマス・シーザーが、それを許すわけはない。果たしてこの独裁者が、ノア、そして人間に対してどんな行動に出るのか、映画で確認せずにはいられない。

英雄シーザーの時代から300年後…受け継がれる伝説

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亡きシーザーのレガシーが受け継がれていく

 『猿の惑星/キングダム』の舞台設定は、2010年代に制作された三部作の300年後。ウイルス感染で人間が絶滅の危機にさらされ、激変した世界が、300年後にどうなっているのかが描かれる。この時代でも、三部作の主人公で、高度な知能を持つ猿・シーザーアンディ・サーキス)の存在はさまざまな形で受け継がれている。

 そこで三部作におけるシーザーの物語を振り返っておこう。『猿の惑星:創世記』で、アルツハイマーの特効薬の実験台となった猿から生まれたシーザーは、高い知能を持ち、育ててくれた人間も大好きだったが、一部の人間たちに虐待され、人類から離れて猿たちと暮らす場所へと旅立つ。

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亡きシーザーが目指した世界は実現するのか?

 続く『猿の惑星:新世紀』では、猿の中に人間を撲滅するべきだと考える過激派が登場するが、シーザーは人間とは関わらずに生きることを目指す。しかし、『猿の惑星:聖戦記』では、猿を滅ぼそうとする人間の軍隊に自分の仲間たちを捕らえられ、仲間を救うために人間の基地を破壊する。人間の軍隊は、対立する集団同士の戦いの中、大雪崩(なだれ)によって壊滅。シーザーは、仲間たちと旅をして、彼らを生活に適した自然豊かな場所に導いた後に名誉ある死を遂げた。

 このシーザーの偉業が、300年の年月を経た今も伝説として残っていることは、独裁者の名前プロキシマス・シーザーが「シーザー」と名乗っていることからも、その名前が残っていることが推測できる。また、若い猿ノアが考える「人間と猿の共存」は、シーザーが最初に目指していた理想的な世界だ。300年経った世界にもシーザーの伝説は残っているが、それを自己流に解釈するものもいれば、シーザーの志をそのまま受け継ぐものもいる。完全新作にシーザー自身は登場しないが、シーザーの存在はさまざまな場面で感じられるに違いない。

原点回帰?オリジナル版『猿の惑星』につながる物語

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オリジナル版の世界観に近づいていく

 本作の物語は、1968年公開のオリジナル版『猿の惑星』につながっていく。オリジナル版は、冷凍冬眠から目覚めた宇宙飛行士3人が、高度な知性を持つ猿たちに支配されている惑星に不時着する物語。この惑星の人間は言葉も文化も持たない。彼らがたどり着いた惑星の衝撃的な事実が発覚するエンディングは、映画史に残る衝撃の結末として現在まで語り継がれてきた。

 『猿の惑星/キングダム』がオリジナル版につながっていくのは、まず、時代設定が三部作とオリジナル版の間の時代だから。猿たちの文化も、三部作とオリジナル版の間の中間地点。例えば、三部作では、すべての猿が話すわけではなく、手話を使う猿もいて、衣類は着ていない。しかし、オリジナル版では、すべての猿が言葉を話し、衣類を着用している。本作では、その中間の状況が描かれるはず。そして物語も、三部作からオリジナル版の世界に至る途中で何が起きたのか、その過程が描かれるはずだ。

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シリーズへのオマージュもあり!

 また、三部作で描かれた、人間と猿の逆転の原因であるウイルスの状況も描かれる可能性がある。三部作では、猿の知能を高めたウイルスは、人間が感染すると死に至り、さらにウイルスが変異して、人間の言語を操る能力を奪うようになったことが描かれた。このウイルスが、新作の時点ではどうなっているのかも気になるところだ。

 『猿の惑星/キングダム』のメガホンを取ったウェス・ボール監督は、本作にはオリジナル版や三部作に関するイースターエッグがいくつも仕込んであると Screen Rant のインタビューで公言している。完全新作はその意味でも、オリジナル版に直結しているのだ。三部作にも、コーネリアスという猿の名前や、女の子の持っている人形など、過去作へのオマージュが盛り込まれていた。『猿の惑星/キングダム』は、シリーズ初心者でも楽しめる物語であると同時に、シリーズを観てきた長年のファンも満足する驚きと感動の仕掛けが詰まった渾身の一本だ。(平沢薫)

映画『猿の惑星/キングダム』5月10日(金)全国公開

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