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完全ネタバレ!『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』徹底解説

 映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』では、マルチバースを利用して膨大な数のスパイダーマンが集結します。ここでは、本作に登場する主要なスパイダーマンに注目しながら、豪華声優陣や驚きのカメオ出演を徹底解説します!(文:杉山すぴ豊)

※本記事はネタバレを含みます。映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』鑑賞後にお読みいただくことをおすすめします。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』とは?

 『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』は2018年(日本は2019年)に公開された『スパイダーマン:スパイダーバース』の続編。スパイダーマンをテーマにした長編アニメーション映画で、前作は第91回アカデミー賞で長編アニメ映画賞を獲得しました。スパイダーバースとは、スパイダーマンを起点としたマルチバース(パラレル・ワールド)の言い方と解釈してください。

 各バース(世界)ごとにその世界なりのスパイダーマンないしスパイダーマンに準じるヒーローがいます。前作はスパイダーマンになってしまった若者マイルス・モラレスの世界に、別バースから5人のスパイダーマンがやってきますが、今回はマイルスがスパイダーバースを旅する(まさにアクロス=横断する)のでもっとたくさんのスパイダーマンたちと出会います。

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メインとなるのはこのスパイダーマンたち!

 さて、スパイダーマンと言えばピーター・パーカーという青年が放射性の蜘蛛にかまれて超人となるわけですが、本作の主人公スパイダーマンはマイルス・モラレス。アース1610という世界の住人で、死んだピーターの代わりにスパイダーマンとなります。

 彼と冒険をともにするグウェン・ステーシーはアース65の住人で、スパイダーウーマンとして活躍。彼女の世界ではピーターではなく彼女が蜘蛛に噛まれヒーローとなります。アース65のピーターは、なんと怪人リザードに変身! グウェンはガールズ・バンドに入ろうとしますが結局やめてしまいます。ちなみに、そのバンド名はメリー・ジェーンズ(バンド)。劇中、グウェンが叩くドラムにメリー・ジェーンと書かれています。

ミゲル・オハラ/スパイダーマン2099(アース928)

 2099年の未来で活躍するスパイダーマン。NYの街はヌエバヨークと呼ばれています。ミゲルは、もともと未来のヒーローたちを描くコミックのミニシリーズ「マーベル2099」中に登場。遺伝学者ですが、スパイダーマンの遺伝子を研究している際、事故で自分がその力を身に付けてしまいます。

ジェシカ・ドリュー/スパイダーウーマン(アース404)

 バイクに乗ったスパイダーウーマン。原作コミックではスパイダーマンとは関係のないヒーローで、アベンジャーズのメンバー(別バースではピーター・パーカーのクローンという設定もあり)、しかも白人です。今回は、名前だけ借りた映画オリジナルキャラクターと考えた方がよさそうです。

パヴィトル・プラパカール/スパイダーマン・インディア(アース50101)

 インディアの名の通りインドのスパイダーマン。ムンバイとマンハッタンをあわせたようなムンバッタンで活躍します。2004年にマーベルがインド市場の開拓のために、現地のメディアと組んでインド版スパイダーマンを作ったことがありました。原作コミックでは特殊な蜘蛛に噛まれたのではなく、シャーマン(呪術師)の力で蜘蛛の力を得たという設定です。

ホービー・ブラウン/スパイダーパンク(アース138)

 原作コミックでは、ノーマン・オズボーン(そう! グリーン・ゴブリンの正体)が大統領となったアメリカで、反体制の旗手として戦うヒーロー。PlayStationのゲームでこのコスチュームが使えたので、ゲームファンにとってもおなじみです。

マーゴ・ケス/スパイダーバイト(アース22191)

 バーチャル空間(メタバース)内の平和を守るスパイダーマン。マーゴはスパイダーマンのようなコスチュームを着たアバターとしてこの電脳世界にアクセスします。なお彼女がデビューした2018年の「VAULT OF SPIDERS #1」誌の表紙には東映スパイダーマンのレオパルドンが登場しています(今回の映画にレオパルドンはいなかったので、次回に期待かな……)

 他にも『アクロス・ザ・スパイダーバース』にはチラ見せを含めて200名を超えるスパイダーマンたちがお目見え。全部は紹介しきれませんが、インパクトのある恐竜版スパイダーマンをご紹介しましょう。原作コミックでは恐竜時代の世界アース66の住人で、ピーター・パーカーならぬプター・プターカーというプテラノドン。しかしT-REXに追われている時に、蜘蛛がいっぱいの隕石に遭遇。その蜘蛛に噛まれ、なぜかスパイダーマンのカラリングのT-REXの体とパワーを身に付けてしまいます。

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声優陣は実写アメコミ映画のスターたち

 今回、実写のアメコミ系映画に登場する俳優たちが声の出演をしているのも話題です。グウェン役は映画『バンブルビー』やディズニープラスのMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)ドラマ「ホークアイ」でケイト・ビショップを演じたヘイリー・スタインフェルド。ミゲル役は、MCUドラマ「ムーンナイト」の主演や、X-MEN映画『X-MEN:アポカリプス』のヴィラン・アポカリプス役でお馴染みのオスカー・アイザックが務めています。

 パヴィトルは映画『デッドプール』シリーズであのタクシー運転手・ドーピンダーを演じたカラン・ソーニ、ホービーは『ブラックパンサー』ウカピ役のダニエル・カルーヤ、マイルスの父・ジェファーソンはMCU映画『エターナルズ』のファストス役で知られるブライアン・タイリー・ヘンリー。マイルスの叔父アーロン役はMCUでブレイドを演じる予定のマハーシャラ・アリで、アース65のピーター・パーカーの声は、ドラマ「ザ・ボーイズ」のヒューイ役でお馴染みのジャック・クエイドです。

 ちなみに、全バースのJ・ジョナ・ジェイムソン編集長は、トビー・マグワイア版&MCU版『スパイダーマン』シリーズと同じくJ・K・シモンズが声を当てています。

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『スパイダーマン』実写映画とのリンク

『ヴェノム』ともつながった! - Columbia Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

 スパイダーバースの概念では、コミック、アニメ、ゲーム、映画、TVで描かれたスパイダーマンの物語はすべてマルチバースの関係にあります。したがって、『スパイダーマン』実写映画シリーズとのリンクもちゃんとあります。例えば、スパイダーマンの宿命/カノンを説明するシーンでは、トビー版のベンおじさんの死アンドリュー・ガーフィールド版のステーシー警部の死の場面が登場します。

 また『ヴェノム』シリーズからは、チェンさん(あの雑貨屋の女主人)が新撮シーンで出てきますね。もともと『ヴェノム』のエンド・クレジットの途中で、ところで別のバースでは的な前フリの後、前作『スパイダーマン:スパイダーバース』の紹介があったので、この2つのバースはもとから関連性があったのです。

実写で登場したドナルド・グローヴァー - David Livingston / Getty Images

 さらに、ドナルド・グローヴァーが別バースのプラウラーことアーロン・デイヴィス役で実写に初登場を果たしました。ドナルドは、トム・ホランド主演の『スパイダーマン:ホームカミング』でチンピラを演じました。つまり、彼はMCU版のアーロン・デイヴィス/プロウラーなのです。そしてドナルド版アーロンは、『スパイダーマン:ホームカミング』で自分の甥っ子のことを心配していました。甥っ子とはマイルスのことですから、MCUの世界にもマイルスは存在することになります。

 また、悪役ドック・オクの名セリフ「ハロー、ピーター」アルフレッド・モリーナの声で聞こえてきます。こうなると期待したいのは、次回作『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』でトビー、アンドリュー、トム版の実写スパイダーマンが登場することですね。

 いかがだったでしょうか? 見どころいっぱい、探したいネタが沢山の『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』ですが、とにかくストーリーとビジュアルが素晴らしい! まずは映画として楽しんで、次はこういうマニアックな視点でチェックしてみてください。

映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』は全国公開中

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杉山すぴ豊(すぎやま すぴ ゆたか)プロフィール

アメキャラ系ライターの肩書でアメコミ映画についての情報をさまざまなメディア、劇場パンフレット、東京コミコン等のイベントで発信。現在「スクリーン」等でアメコミ映画の連載あり。サンディエゴ・コミコンも毎年参加している。『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』に日本語吹替版の監修も担当。来日したエマ・ストーンに「あなた(日本の)スパイダーマンね」と言われたことが自慢。

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