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人生を変えるかもしれない…ドキュメンタリー映画って?

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「TBSドキュメンタリー映画祭2022」より

 世界情勢を巻き込むコロナ禍に戦争と、ますます混迷の度を深めていく現代社会。日々刻々と変化していく世の中を見極めることは情報化社会のなかで重要だと言えよう。そんな世の中の状況を的確に捉え、これまでも質の高い報道番組を世に送り出してきたTBSが製作したドキュメンタリー映画は、高い評価を得ており、昨年から映画祭も開催している。今年も鋭い視点で世の中をとらえたドキュメンタリー映画の数々を一堂に集めた「TBSドキュメンタリー映画祭2022」が開催される。

深すぎる!ドキュメンタリーの魅力

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『日の丸 ~それは今なのかもしれない~』より

 ドキュメンタリー映画の魅力とは、そこに紛れもない事実や現実が記録されていることであろう。社会のさまざまな現象や事件をテーマに取り上げ、取材対象のありのままをカメラに収めながら、報道だけでは伝わらない「事の真相」を深く掘り下げていく。もちろんドキュメンタリーとはいえ「映画作品」なので、作り手の主観や主張は少なからず反映されるが、カメラが捉えた真実は揺るがない。それこそが劇映画とは一線を画する、ドキュメンタリー映画ならではの面白さであり醍醐味となる。

このドキュメンタリーがスゴい

 ドキュメンタリー映画は、時には世論を動かすほど社会的なパワーとなる場合がある。最近でも、インドネシアで起きた大量虐殺事件の真相を暴く『アクト・オブ・キリング』や、スノーデン事件の裏側を描く『シチズンフォー スノーデンの暴露』、ルーマニアの医療汚職の実態に迫る『コレクティブ 国家の嘘』などのドキュメンタリー映画が、世界中でさまざまな論議を巻き起こした。

 ここ数年、ドキュメンタリー映画の製作・公開本数も増え、その重要性が改めて見直されているようにも感じる。日本に目を移しても、ゴーストライター問題の真相に迫る『FAKE』や、政治報道の最前線に肉薄した『i-新聞記者ドキュメント-』などが話題となった。

TBSの取材力・映像の質の高さがスゴすぎる

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『ムクウェゲ「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』より

 特にTBSはドキュメンタリー映画製作に積極的で、1969年に行われた作家・三島由紀夫と東大全共闘の討論会の映像を用いた『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』は高い評価を得て話題となり、全国映画動員ランキングにも登場するなどのヒットを果たしたことは記憶に新しい。沖縄の政治家・瀬長亀次郎の実像を描く『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』なども高い評価を受けている。

 半世紀以上に渡って報道の現場で継承されてきた確かな取材力と、膨大な数にのぼる映像アーカイブに裏打ちされた情報の正確性は、やはり他の追随を許さないと言えよう。

映画祭のラインナップがスゴすぎる

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『ライブで歓声が聞こえる日~コロナ禍に抗う音楽業界』より

 「TBSドキュメンタリー映画祭2022」で上映される作品は合計11本。題材も社会問題からエンターテインメントまで多岐に渡る。そこで、その中から5本のおススメ作品をご紹介しよう。

 『ライブで歓声が聞こえる日~コロナ禍に抗う音楽業界』では、コロナ禍によって大きな打撃を受けている日本の音楽業界に焦点が当てられる。感染拡大とデビューが重なったメタルバンド「HAGANE」や、老舗洋楽プロモーター、ウドー音楽事務所などを取材しながら、コロナに翻弄される関係者の苦悩と業界の未来像を映し出していく。

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『さっちゃん最後のメッセージ 地下鉄サリン被害者家族の25年』より

 『さっちゃん最後のメッセージ 地下鉄サリン被害者家族の25年』は、地下鉄サリン事件に巻き込まれ、31歳の若さで重い後遺症を負ってしまった浅川幸子さんと、彼女を支え続けた家族の日常を記録。ニュースでは報道されない被害者の「その後」を静かに見つめた貴重な作品だ。

 ほかにも、「総理に最も近い男」と言われながら、自民党総裁選で負けてきた政治家・石破茂氏を捉えた『石破茂・嫌われた正論 10人の証言』は出色だ。たとえ党内での立場が危うくなろうとも、国民の声を代弁し続ける彼の実像を通して、日本の政界そのものを浮き彫りにしていく。また、『日の丸 ~それは今なのかもしれない~』は、「あなたは日の丸をどう思うか? 国と家族のどちらが大切か?」と唐突な街頭インタビューで日本人の本音を引き出す。1967年に撮影された映像と、同じ質問をぶつけた最新映像を織り交ぜることで、今の日本を包み込む空気を炙り出す問題作だ。

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『石破茂・嫌われた正論 10人の証言』より

 『ムクウェゲ「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』は、レイプ被害に遭った女性が年間2,500人以上も運び込まれるコンゴ民主共和国の病院で、院長ムクウェゲ医師の活動や社会背景に焦点を置く。日本人も使うスマホやPCが、コンゴ人の流した血で成り立っていることに衝撃を受けるはずだ。

 我々の知らなかった真実や看過しがちな問題に焦点を当て、観客の視野を広げてくれるような作品が揃う。驚きあり、衝撃あり、感動あり。人によっては世界を見る目が変わるだろうし、もしかすると人生の価値観そのものを変えるような作品に出会えるかもしれない。ぜひとも、この機会にドキュメンタリー映画の世界を堪能してほしい。(文・なかざわひでゆき)

「TBSドキュメンタリー映画祭2022」は3月18日~3月24日にヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次開催
公式サイトはコチラ>>
(C)TBSテレビ

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