「スター・ウォーズ」シリーズはこの先どうなるのか?~ルーカスフィルムの戦略~

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スター・ウォーズ/最後のジェダイ
「スター・ウォーズ」シリーズの行方は? 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』より - (C) 2017 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

 『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』がついに公開! ところが、スピンオフ映画の企画が一時保留の噂も浮上? さて、『スター・ウォーズ』はこれからどうなる?(文・平沢薫)

人気シリーズに浮き沈みがあるのは当たり前。『ミッション:インポッシブル』も『ハリー・ポッター』も盛り返した!

 『ハン・ソロ』の全米公開時には、興行成績が予想ほどではなかったことがニュースになった。しかし、長い間続いているシリーズの成績が上がったり下がったりするのは、よくある話。途中から盛り返すシリーズも少なくないのだ。

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スター・ウォーズ/最後のジェダイ
アメリカでは予想ほどの興収ではないと言われているが……『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』より -(C)2018 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

 そこで最近のヒットシリーズの世界興収の推移を見てみると、『ハリー・ポッター』シリーズも第1作は約9億7,500万ドル(約1,072億5,000万円)、第2作は約8億7,900万ドル(約966億9,000万円)、第3作は約7億9,700万ドル(約876億7,000万円)と少しずつ下がったが、第4作から約8億9,700万ドル(約986億7,000万円)と上がって、最後の第8作では第1作を超えて約13億4,200万ドル(約1,476億2,000万円)になった。

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
ヒット作『ハリー・ポッター』シリーズだって下がることも……『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』より - Warner Bros. / Photofest / ゲッティ イメージズ

 また、『ミッション:インポッシブル』シリーズは、第1作(約4億5,800万ドル、約503億8,000万円)より第2作(約5億4,600万ドル、約600億6,000万円)が上だったが、第3作(約3億9,800万ドル、約437億8,000万円)で第1作より落ち込む。だが、続く第4作(約6億9,500万ドル、約764億5,000万円)が第2作を超え、この前の第5作『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(約6億8,300万ドル、約751億3,000万円)と好成績をキープしている。

 『ワイルド・スピード』シリーズは第3作(約1億5,800万ドル、約173億8,000万円)で落ち込んだが、第4作(約3億6,300万ドル、約399億3,000万円)は第1作(約2億700万ドル、約227億7,000万円)も第2作(約2億3,600万ドル、約259億6,000万円)も超えて、それ以来ほぼ右肩上がりになっている。

ミッション:インポッシブル/フォールアウト
『ミッション:インポッシブル』シリーズも好成績をキープ!『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』より - (C) 2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

 これらのシリーズはみな、途中で方向性を修正し、監督などを変更して盛り返しているのだ。その端的な例が『007』シリーズ。1962年製作の第1作『007/ドクター・ノオ』から現在進行中の第25作まで、主演俳優やスタッフをどんどん変えて、その時代に合った007像を生み出している。1990年代の007は世界興収が約3億5,000万ドル(約385億円)程度だが、主演をダニエル・クレイグに替えた第1作『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)は約6億ドル(約660億万円)、『007 スカイフォール』(2012)はなんと約11億1,000万ドル(約1,221億円)に達している。

007のダニエル・クレイグ
ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンド役『007』の人気は高い! - MGM / Columbia / Photofest / ゲッティ イメージズ

 また、最近ではスピンオフをシリーズ展開して成功する例もある。『ハリー・ポッター』シリーズから『ファンタスティック・ビースト』シリーズが生まれ、『ロッキー』シリーズからは、ロッキーの親友の息子が主人公の『クリード』シリーズが生まれ、どちらも注目を浴びている。

 そして、ルーカスフィルムは、これらの成功パターンを意識して戦略を練っている。それは、発表された企画と監督の顔ぶれを見ればよくわかる。

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ルーカスフィルムには見事な戦略がある!

 そもそも『スター・ウォーズ』の新作が作られることになったのは、2012年にディズニーがルーカスフィルムを買収したから。キャスリーン・ケネディが社長となった新たなルーカスフィルムは、『スター・ウォーズ』の本家シリーズの新3部作とスピンオフを毎年交互に公開することを発表。続いて、発表された監督たちの顔ぶれは、ファンの期待を高めるものだった。

J・J・エイブラムス監督
『フォースの覚醒』などを手掛けたJ・J・エイブラムス監督 - Axelle / Bauer-Griffin / FilmMagic / Getty Images

 その後、監督の降板が続いてしまうのだが、最初に発表されたラインナップは以下のようになっていた。2013年にはエピソード7『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が『スター・トレック』(2009)のJ・J・エイブラムスに決定、2014年にはエピソード8『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が『LOOPER/ルーパー』(2012)のライアン・ジョンソン、スピンオフの第1弾は『GODZILLA ゴジラ』(2014)のギャレス・エドワーズ、第2弾は『クロニクル』(2012)のジョシュ・トランクに決定。2015年には第3弾が『LEGO(R)ムービー』(2014)のコンビ、フィル・ロードクリストファー・ミラー、本家シリーズ『スター・ウォーズ/エピソード9(仮題)』が『ジュラシック・ワールド』(2015)のコリン・トレヴォロウに決定したのだ。

ギャレス・エドワーズ監督
『GODZILLA ゴジラ』のギャレス・エドワーズ監督 - Rick Madonik / Getty Images

 この最初のラインナップと監督から、ルーカスフィルムの戦略が見えてくる。まず、本家3部作とスピンオフを同時進行させる。そして、その2つは別の方向性を持ち、本家3部作は手堅い従来路線で、スピンオフはそれぞれ新鋭監督を起用して別のタイプの映画を製作し、新たな路線を試してみる。これは、これまでの他シリーズの成功例を踏まえた見事な戦略ではないか。新鋭監督の思い切った起用が可能なのも『スター・ウォーズ』のブランド力の後ろ盾があればこそだろう。

 ただ残念なことに、この戦略は実現できていない。監督の降板が続いてしまったのだ。2015年にジョシュ・トランクがスピンオフ第2弾を降板。2017年にフィル・ロード&クリストファー・ミラーが撮影中の『ハン・ソロ』を降板し、監督は名匠ロン・ハワードになる。また同年、コリン・トレヴォロウが『エピソード9』を降板し、監督は『フォースの覚醒』のJ・J・エイブラムスが復帰することになった。監督の降板があると、再度の降板を避けるためだろう、手堅い監督が起用されて、当初の戦略とは別の作品になってしまうのではないだろうか。

コリン・トレヴォロウ監督
『ジュラシック・ワールド』で実績のあるコリン・トレヴォロウ監督 - Axelle / Bauer-Griffin / FilmMagic / Getty Images

 ルーカスフィルムには立派な戦略がある。それを実現するために、監督を降板させないことが必要なだけなのだ。それは『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)が証明している。製作時は再撮影などの不安な噂は多々あったが、監督は降板しなかった。その結果、これまでとはテイストの異なる世界を描き、ファンの評価も高く、全米興収は5億ドル(約550億円)を超え、歴代第10位の成績になっているのだ。

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でも公開時期は吟味した方がいいかも?

 とはいえ、興行成績は公開タイミングの影響も大きい。競合作が多い時期に公開すれば、数字が良くないのは当然だろう。『ハン・ソロ』を、『デッドプール2』公開の翌週で、まだ『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』もランキング上位にいる時に公開したのはどうなのか。また、シリーズ前作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は昨年12月公開で、5か月しか経っていないのも気になるところだ。

デッドプール
『デッドプール2』も好成績! 『デッドプール』より - Twentieth Century Fox Film Corporation / Photofest / ゲッティ イメージズ

 かつては『スター・ウォーズ』は夏公開が定番だったが、『フォースの覚醒』からはそうではなくなった。はたして毎年の公開がいいのか、どのタイミングの公開が効果的なのか、今後はこれまで以上に公開時期を吟味する必要がありそうだ。

ルーカスフィルムは今後も意欲的な企画が続く

 ルーカスフィルムの大胆な戦略は、今後のラインナップを見ても変わっていない。

 まず、『最後のジェダイ』のライアン・ジョンソン監督の製作総指揮による新たな3部作が企画進行中。『最後のジェダイ』はファンの間で賛否両論あったが、従来の『スター・ウォーズ』から一歩踏み出す作品だった。ルーカスフィルムがその監督に新たな3部作を任せるということは、新たな『スター・ウォーズ』世界の創造を目指しているからだろう。

ボバ・フェット
スター・ウォーズのサブキャラとして人気が高いボバ・フェット -『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』より - Twentieth Century Fox Film Corp. / Photofest / ゲッティ イメージス

 さらに大胆なのは、これとは別の3部作を人気テレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」のクリエイター・コンビ、デヴィッド・ベニオフD・B・ワイスが製作・脚本を手掛けること。「ゲーム・オブ・スローンズ」のような人間心理のひだを描く陰謀と裏切りの群像劇を『スター・ウォーズ』世界に持ち込むとしたら、かなり冒険的な作品になりそうだ。

 そしてスピンオフ2作は、保留ではないかと噂になるほどの注目作。まず、賞金稼ぎのボバ・フェットを描く作品は、監督と脚本を、晩年のウルヴァリンを重厚に描いた『LOGAN/ローガン』(2017)のジェームズ・マンゴールドに打診中と Hollywood Reporter が報じている。また、オビ=ワン・ケノービが主人公の映画の監督には、人間ドラマ『愛を読むひと』(2008)、『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(2011)のスティーヴン・ダルドリー監督がメガホンを取ると Comic Book などが報じている。これらの監督たちがプロジェクトから離れたという噂もあるが公式発表はない状態だ。

オビ=ワン・ケノービ
ルークの師匠・オビ=ワン・ケノービも人気! - 『スター・ウォーズ エピソードI/ファントム・メナス』より - Lucasfilm Ltd. / 20th Century Fox / Photofest / ゲッティ イメージズ

 この2作は、旧作の人気キャラが主人公な点が『ハン・ソロ』と同じなので、保留かどうかはさておき、今後の展開は『ハン・ソロ』の観客の反応を踏まえたものになるだろう。ファンは人気キャラの何が観たいのか。すでにさまざまな伝説を持つ人気キャラの物語に、新鮮な魅力やサプライズをどのように加えるのか。ストーリーが、これまで以上に練られていくのに違いない。

 一方、もっとも手堅い従来路線になりそうなのが、ディズニー独自の配信システムのために製作される実写版テレビシリーズ。クリエイターは『アイアンマン』(2008)、『ジャングル・ブック』(2016)のジョン・ファヴロー。こちらはエピソード6である『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』(1983)の7年後を舞台に、新たなキャラクターを描くとのこと。この監督のテイストは『スター・ウォーズ』の従来路線に似合いそうだ。

ジョン・ファヴロー監督
『アイアンマン』などで知られるジョン・ファヴロー監督 - Jason LaVeris / FilmMagic / Getty Images

 また、テレビアニメシリーズは「スター・ウォーズ レジスタンス(原題) / Star Wars Resistance」が公式発表済み。主人公は新キャラのレジスタンスの若きパイロットで、BB-8、ポー・ダメロン、キャプテン・ファズマも登場予定で、声を映画版と同じ俳優が担当する。これまでのアニメの路線を踏襲するシリーズになりそうだ。

 このように、今後の『スター・ウォーズ』も、<従来路線と新規路線><3部作とスピンオフ>という、2つの方向性と2つの形式を組み合わせながら進められている。これからも、その作品の題材に合わせて、さまざまな監督&テイストの作品が展開されていくに違いない。

 そして、6月17日付のツイッターで『スター・ウォーズ』情報サイト&ポッドキャストのホスト、アーロン・ゴインズが『スター・ウォーズ』の新作は9作品が開発中らしいと発言。となると、ここで見てきた以外の企画も動いているようだ。また、『エピソード9』にユアン・マクレガー演じるオビ=ワン・ケノービが登場するのではないかという噂も浮上。今後の『スター・ウォーズ』の行方には、大きな可能性が広がっているのだ。(数字は Box Office Mojo 調べ・1ドル110円計算)

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