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斎藤工・企画クレイアニメの制作現場に潜入!~『映画の妖精 フィルとムー』はこうして作られた~(2/2)

第30回東京国際映画祭

『映画の妖精 フィルとムー』 斎藤工×板谷由夏インタビュー

クレイアニメーション『映画の妖精 フィルとムー』のアフレコ収録が10月3日、東京・辰巳のWOWOW放送センターで行われ、フィルとゴリラの声を務めた斎藤工と、ムーと美女の声を担当した板谷由夏が、収録の興奮も冷めやらぬ中、作品への思いを語った。(取材・文:中山治美 写真:高野広美)

斎藤工&板谷由夏
映画情報番組「映画工房」(WOWOWシネマで放送中)で培われた抜群の相性を見せる板谷&斎藤

斎藤、歌にまさかの大苦戦……!

斎藤工
歌うシーンでまさかの苦戦!

Q:アフレコ収録はいかがでしたか?

板谷由夏(以下、板谷):楽しかったです!

斎藤工(以下、斎藤):僕の場合は、ボイスコントロールがなかなか出来なくて……(苦笑)。

板谷:ミュージカル風の歌をうたうところ?

Q:ミュージカル「テニスの王子様」出身の斎藤さんが、何をおっしゃいますか。

斎藤:いやいやいや(苦笑)。フィルの声を、普段の自分の声よりかなり高いキーで始めたのがアダになりました。

板谷:そっか、“オネェ系”をイメージして始めちゃったからね(笑)。

斎藤:えぇ、転調がそれ以上出来なくなってしまいました。

Q:斎藤さんは最初、普段の声をフィルの動きに当てていました。力を入れながらと起き上がる時に思わず出る「うっ」という声とか、切なくため息をつく場面からは、子供向け作品なのにフェロモンが溢れ出てしまっていましたね(笑)。

斎藤:自分でもちょっと違うなと思いました。僕はそうやってフィルのキャラクターを探り探り、“(新宿)二丁目の朝”みたいな感じでやっていました(苦笑)。ただムーの導きでフィルが冒険をする物語なので、その僕の曖昧さとか不安げなところが、うまくフィルの心情とマッチすればいいなと思いましたね。

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斎藤工&板谷由夏
ほぼ即興!さすがのお2人

Q:とはいえ、アフレコ台本には「登場人物のセリフはすべて、どこの国の言葉でもない、フィル語、ムー語、ゴリラ語、美女語でお話しください」との注釈が書かれていました。この役づくりはどのように?(笑)

斎藤:収録ブースに入るまで何も考えられないですよ。でも板谷さんは瞬時にスイッチが入っていましたね。(NHK)Eテレのキャラクターを観ているかのようでした。

板谷:本当!? 言葉がないって、楽だなあと思いながらやっていました。

斎藤:自宅でお子さんたちに、声を変えたり、登場人物になりきって絵本の読み聞かせや人形劇をやっているとか?

板谷:やってないですね。子供たちはウルトラマンごっことかをするとき「ガシャーン!」「バーン!」と言っているけど。

斎藤:それそれ。だから僕、ゴリラの声だけは迷いがなかった。それは少年期の“ごっこ遊び”の成果だと思います。

子供たちの記憶のどこかに残って欲しい作品

斎藤工&板谷由夏
インタビューでもリラックスした雰囲気

Q:斎藤さんは、本名の齊藤工として企画、ストーリー原案、脚本にも携わっています。改めて、作品を作る上で大切にしたことをお聞かせください。

斎藤:自分の人生において映画とは? と考えた時、様々な作品を通していろんな人の人生を疑似体験し、いろんな時代や国へも行ける、世界に通じる自由な窓だと思いました。なので、初めて映画を観る子供たちに、この映画の魔法を伝えたい。そしてこの作品を導入にして、いろんな映画を観るきっかけになればという願いを込めました。

Q:それにしても7月末に制作発表を行い、何も形になっていなかった作品が、約2か月の期間を経て、こうして命が吹き込まれました。俳優の仕事をしていてもゼロから制作に携わる機会はなかなかないと思います。

斎藤:本来、自分たちが俳優として関わる作品や番組も、多くのスタッフたちの努力や準備があって成立します。そんな当たり前のことに、もう一回立ち返らせてもらったような気がします。

板谷:「工房」という名の付いた番組が、番組放送開始から7年かけて“創る”方向に向かっているのだから素晴らしいですよね。

斎藤:これで制作者側に立ったというか、生みの苦しみも見てきましたので、今後、映画を紹介する角度も変わってくると思います。

板谷:今は早く子供たちに観せたいね。

斎藤:今回の企画は、映画を観た子供たちのリアクションを得て、完成ですからね。

板谷:ウチの子供たちにも観せるのが楽しみ。

板谷由夏
とってもカワイイ“ムー”が誕生!

Q:板谷さんはドラマなどでキリッとしたキャリアウーマン役が多いので、お母さんの違う一面を見てもらえそうですね。

板谷:そうそう。ドラマ「セシルのもくろみ」(フジテレビ系)のファッション雑誌編集部デスク・黒沢洵子役もそうでした。

斎藤:僕も殺すか殺されるか……とか、不倫とか、そういう役ばかりだから、ようやく甥っ子と姪っ子に観せられます。NHKに初めて出演した時のような感じですね(笑)。

Q:シリーズ化も期待してしまいます。

斎藤:ちょっと希望を託しながら……。でもシリーズ化が実現しなくても、フィルとムーの存在が、子供たちの記憶のどこかに残ってくれたらいいなと思います。小学生のノートに、フィルのシールがちょこんと貼ってあるような。

板谷:いいねぇ。夢が広がりますね。    

>>クレイアニメ制作現場の潜入レポートはこちら!

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