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どこへ行く?ダニエル・ラドクリフ

今週のクローズアップ

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今週のクローズアップ どこへ行く?ダニエル・ラドクリフ

 現在公開中の映画『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』ダニエル・ラドクリフが『ハリー・ポッター』シリーズ終了後、初めて主演を務めた作品だ。今週は、ハリー役で一躍世界的スターとなったダニエルが、10年に及んだシリーズ終了後どこへ向かって行くつもりなのか、彼の作品選びの方法や価値観から迫ってみたい。

『ハリー・ポッター』との向き合い方

 『ハリー・ポッター』シリーズを終えた後も、テレビ番組に出演すれば同作に関する自虐ネタをしばしば求められるダニエル。中でも有名なのは、卒業後10年たつのにもかかわらずホグワーツに居座り、過去の栄光を新入生にひけらかすだけの髪の毛の薄くなったハリーにふんしたコントを披露した2012年1月放送のコメディー番組「サタデー・ナイト・ライブ(SNL)」だろう。エンターテインメントサイトDen of Geekから自身やそのキャリアをあざ笑うような台本に傷つかないのかと聞かれたダニエルは「そんなことは全くないよ」と断言。「特にSNLのコントの台本を書いたのは熱烈な『ハリー・ポッター』ファンだった。愛があってのことなんだよ。からかわれているというふうには全然感じなかった」と説明した。

 そのほか、ヒュー・ジャックマンビル・ヘイダーレイチェル・ドラッチをはじめとするさまざまな俳優やコメディアンからネタにされてきたダニエルだが「コメディアンのブレンドン・バーンズが『名を成したら、後はどっしり構えて自分を笑うことのできるユーモアのセンスを持たなくては』と言っていたけど、まさにそういうことなんだよ」と語るなど自分なりに折り合いをつけているよう。STAR誌の取材に対しても「僕がこれから手にするチャンスは全て『ハリー・ポッター』がなかったら手に入れることのできなかったものだろうね。そんなことはないなんて、恩知らずでないととても言えないよ」と胸の内を明かし『ハリー・ポッター』の存在をひっくるめて今後のキャリアを重ねていこうとしていることがうかがえる。

 それでも人々から「ダニエル・ラドクリフ=ハリー・ポッター」という固定されたイメージが薄れていくのは大歓迎のようで「この前、ベンチに座っている二人の女の子の前を通り過ぎたんだ。彼女たちが『なんてこと! ダニエル・ラドクリフよ!』って言っているのが聞こえたとき、僕は『イエーーーース!』って思ったね。だって彼女たちは僕のことを“ハリー・ポッター”ではなく“ダニエル・ラドクリフ”と呼んだんだから!」とうれしそうにSeven誌に語っている。

 

ダニエル11歳!第1弾『ハリー・ポッターと賢者の石』より
Warner Bros./Photofest/MediaVast Japan

 

ダニエル13歳!第3弾『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』より

ダニエル14歳!第4弾『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』より
Warner Bros./Photofest/MediaVast Japan

作品&役選びの二つのポイント

 では、ダニエルは今後どういった作品に出演していきたいと考えているのだろうか? 2001年以降10年にわたってハリー・ポッターを演じてきたが、その間にも映画『ディセンバー・ボーイズ』やテレビ映画「ダニエル・ラドクリフの マイ・ボーイ・ジャック」に出演し、2008年には全裸シーンもある舞台「エクウス」でブロードウェイデビュー。2011年の「努力しないで出世する方法」でミュージカルにも挑戦するなど、『ハリー・ポッター』だけにとどまらず役者としての幅を広げようとさまざまな作品に積極的に関わってきた。

 そして『ハリー・ポッター』シリーズ終了後、ダニエルが新たなキャリアの幕開けとしたのが英国産ゴシックホラー『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』だ。役者としての今後を占う重要な作品に本作を選んだ理由の一つに、彼は『キック・アス』ジェーン・ゴールドマンが担当した脚本の面白さのみならず、本作が監督2作目となるジェームズ・ワトキンスに惹(ひ)かれたことを挙げている。

 それ以降の作品でも、ダニエルが選び取るのはジョン・クロキダス監督の長編デビュー作『キル・ユア・ダーリンズ(原題) / Kill Your Darlings』、マイケル・ドース監督の『ザ・Fワード(原題) / The F Word』、アレクサンドル・アジャ監督の『ホーンズ(原題) / Horns』などいずれも30代の若い監督の作品。ダニエルはDen of Geekに「みんなは僕にマーティン・スコセッシ監督やスティーヴン・スピルバーグ監督とタッグを組んでほしいと思っているようだけど、僕にとって次世代のスコセッシとなりうるハングリーな監督たちと一緒に働くことはそれと同じぐらいエキサイティングなんだ」と若く才能あふれる監督たちと共に作品を作り上げることに面白さを感じていると明かしている。

 また、ダニエルは「ネームバリューにとらわれず才能のある監督とタッグを組むこと」のほか、「みんなが観たいと思う映画に出ること」を重要視している。『ウーマン・イン・ブラック』を選んだもう一つの大きな理由は「みんなが僕が出ているのを見たいと思うような、今までとは全く違ったタイプの映画だったから」という。同作ではゴシックホラーというジャンルで、亡き妻の幻影にとらわれた悲壮感あふれる子持ちのアーサーを演じたダニエル。『ハリー・ポッター』とは百八十度違う作品&役柄を「みんなが観たいと思うもの」と考え、『キル・ユア・ダーリンズ』でのゲイで知られるビート詩人アレン・ギンズバーグ、現代的なロマンティック・コメディー作品『ザ・Fワード』、『ホーンズ』の目を覚ましたら頭に角が生えていた男などに挑んでいるようだ。

 BBCのインタビューでも「例えばブラッド・ピット出演の映画なら、人々はその映画のことを何も知らなくったって、ブラッドのようなセンスのいい俳優なら面白い映画に違いないと思って観に行くよね? (役者として常に第一線にいたいと思うならば)人々に自分は“みんなが観たいと思う映画”に出ている役者であると知らせることが重要なんだ」と語っている。

 

6頭の馬の目をつぶした少年役で全裸シーンに挑戦!舞台「エクウス」より
Photoshot / Getty Images

 

歌って踊れるんだぜ!ミュージカル「努力しないで出世する方法」より
Andrew H. Walker / Getty Images

 

亡き妻の幻影にとらわれた悲壮感あふれる子持ちのアーサー!
『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』より

若いジェームズ・ワトキンス監督と打ち合わせ

ダニエルが待っているのはホグワーツ特急ではありません
(C) 2011,SQUID DISTRIBUTION LLC, THE BRITISH FILM INSTITUTE

アルコール依存症を克服&社会的活動に従事

 今年10月に発表されたHeat誌の「イギリスで最もリッチな30歳以下のスター」では、推定総資産5,330万ポンド(約69億2,900万円)で1位に輝いたダニエル。幼いころに突然世界的なスターとなることはダニエルの私生活に悪影響を与えた部分もあったようで、2011年には雑誌「GQ」UK版に、18歳からの数年間アルコールに依存していたことを告白している。「享楽のために(アルコールに)頼るようになったんだ。ほんの数年の間なんだけど、有名人のライフスタイルみたいなものに夢中になっていたんだ。だけどそれは僕には合っていなかったみたいだ」と2010年8月からは断酒をして、毎夜のパーティーなどからは距離を置いた静かな生活を送っていることも明かした。今年2月に出演したBBCのラジオ番組では「予想もしていなかった幸せが戻ってきたよ。両親だけでなく、さまざまな人との関係も修復できた。おびえながら生きずに済んでいるよ。酒を飲み続けていたら今の自分はなかったと思うことがある。昨年のミュージカルに出演することもなかっただろうね」と語るなど、現在は依存症から立ち直り、役者としてのキャリアに集中することができているようだ。(1ポンド130円計算)

 また、ダニエルは2009年から同性愛者やバイセクシャルなどの若者の自殺を防ぐことを目的とした団体「トレバー・プロジェクト」の活動を支持し、多額の寄付を行っているほか同団体のPR動画に出演していることでも知られる。その功績を讃えて同団体から「ヒーロー賞」が贈られた際には「僕のこれまでのキャリアでしてきたこと中で、トレバー・プロジェクトに関わったことが最も重要なことの一つであると思っています」とコメントしていた。Attitude誌のインタビューでは自由民主党党首ニック・クレッグ氏とも同性愛者の権利について話し合ったと明かしており、自身の立場を最大限に活用して理想を実現するための活動を行っている。

「トレバー・プロジェクト」の創設者と共に
Stephen Lovekin / Getty Images

 

ダニエルのこれからに注目!
Phillip Chin / WireImage / Getty Images

 『ハリー・ポッター』、そして若くしてスターであることにも折り合いを付けてアルコールとは手を切り、役者としての仕事や社会的な活動に精力的に取り組んでいるダニエル。『ハリー・ポッター』シリーズ終了後、主演第1作である『ウーマン・イン・ブラック』で見事に魔法使いの少年のイメージから脱却し、演技派俳優としての新たなキャリアを確かな足取りで歩み始めた彼の目指す方向はしっかりと定まっているといえるだろう。

映画『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』は公開中

文・構成:シネマトゥデイ編集部 市川遥

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