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存在自体がマニアック!?『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』のマニアックな見どころを徹底解説!

今週のクローズアップ

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今週のクローズアップ 存在自体がマニアック!?『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』のマニアックな見どころを徹底解説!

 9月7日に公開された映画『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』で15年の歴史に幕を下ろす「踊る大捜査線」シリーズ。いまやすっかりメインストリームになった同シリーズだが、「これまでとは違う刑事物を作りたい」と始まったシリーズは、ヒットもあまり期待されていないサブカルチャーの要素満載の作品だった!? 国民的人気シリーズの発端を振り返りつつ、完結編のマニアックな見どころに迫りたい。
始まりは「これまでとは違う刑事物」

 9月1日に放送されたスペシャルドラマのタイトルは、「踊る大捜査線 THE LAST TV サラリーマン刑事と最後の難事件」。それは、これまで「踊る大捜査線」シリーズが描いてきたものを象徴するようなタイトルだった。思えば、シリーズの主人公・青島俊作は、刑事というよりは、サラリーマンだった。

 

ちなみに、連続ドラマ第1話のタイトルは「サラリーマン刑事と最初の難事件」でした!
(C) フジテレビジョン

 「これまでとは違う刑事物を作りたい」。プロデュースを手掛けた亀山千広プロデューサーが、そう考えてたどり着いたのが、「警察組織を描く」ということだった。「港区の台場で事件が起こったとしても、その犯人が逃げますから、その人を捕まえるのは、例えば九州の刑事だったりする。ということは、刑事は何で動いているかというと、組織で動いている。だとしたら、事件の担当者がテレビドラマのように犯人を捕まえるということもそうないのだろう。だったら、犯人を捕まえない刑事ドラマがあってもいいのだろうと思った」。「踊る大捜査線」シリーズは、警察という組織の中で、誇りと責任を持って仕事をする生身の人間を追うドラマとしてスタートした。

 

「踊る」が描く警察組織の象徴といえばやっぱりこの二人!-青島×室井!
(C) フジテレビジョン

“キャリア”と“ノンキャリア”のこんな熱いぶつかり合いも、「踊る」の魅力でした!
(C) フジテレビジョン
もともとはサブカルチャーが詰まった作品だった!

 監督を任されたのは、アニメやサブカルチャーにも造詣の深かった本広克行監督。テレビドラマ「ロングバケーション」をヒットさせたばかりの亀山プロデューサーに、「作りたいものを作りなよ。いろいろバックアップするから」と言われた本広監督は、本当にやりたいことをやった。「ビデオにするつもりはない」と言われたから、放送1回のためにしか使うことのできないクラシック、アニメの楽曲などを多用した。当時テレビではまだそんなに有名ではなかったキャストたちのアドリブを、どんどん膨らませていった。そんな本広監督の自由な演出は、もともとサブカルチャーを好む人たちの心に、次々と火を付けていった。

 
「踊る」名場面!
(C) フジテレビジョン
こんなシーンもありました!
(C) フジテレビジョン

 「踊る大捜査線」シリーズがこれだけ大作となった今でも、サブカルチャーのものを取り入れることは忘れていないという本広監督。「(THE) LAST TV、(THE) FINALでは、変なことを言うと黙るっていう笑いを入れたんですよ! そこで必ずプリンターのガガガガッガガガガッて音を流したんです。これが僕のこだわりですね」。これだけの大作となった今でも、監督の遊び心は健在。もちろん、過去に出演したキャストや、カエル急便や居酒屋「だるま」、カップ麺といったアイテムを随所に登場させることも忘れていない。そんな監督のこだわりが、サブカルチャーをメインストリームに変える原動力となり、「踊る大捜査線」シリーズは、前代未聞の大人気シリーズとなったのだ。

 
「THE FINAL」現場での本広監督
(C) 2012 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー
プリンターの音は監督の「笑って」サイン!?
(C) 2012 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー
キャストの皆さんにそれぞれのキャラクターのマニアックな見どころ、聞いちゃいました!

織田裕二(青島俊作):生年月日を自分と同じにしているキャラクター。自分が持っている個性をクローズアップして、役に投入してきた。

 「踊る大捜査線」シリーズでは、青島が織田と同じ生年月日だし、他にも誕生日や血液型を演じる役者と同じにしているキャラクターが多い。そのことについて言及した織田は、「僕自身が持っている個性をクローズアップして役に投入してきた。僕が青島をやったから、こんな青島になった。室井さんも、柳葉(敏郎)さんが演じる室井さんだったからこそ、今の青島でいられた」。他の作品にはない、演じたキャラクターと演者のこの関係性が、ヒットの一助となったことは言うまでもない。

(C) 2012 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー


柳葉敏郎(室井慎次):室井は、実際にはあり得ない東北大からのキャリア組。

 「僕が室井を好きなのは、成り上がりだからなんですよ」とも語った柳葉。連続ドラマ最終話で青島から「あんたは上にいろ!」と言われたとき、室井も本来、「現場の人間が正しいと思えることができるような環境を作りたい」という思いで秋田から出てきているはずだと気付いたという。室井が単なるキャリアではなく、成り上がりだということ。それを知っているのと知らないのとでは、シリーズの見方も変わってくるのかもしれない。

(C) 2012 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー


深津絵里(恩田すみれ):すみれは、女性として憧れられるようなキャラクターではなく、人の痛みを知っていて、どこか弱い面もあるキャラクター。

 それまでの刑事物の女刑事というと、ものすごくかっこよかったり、セクシーだったり……。確かに、深津が演じたすみれは、“女刑事”というより一人の女性だった。そんなすみれのキャラクター設定は、「これまでとは違う刑事物を作りたい」というシリーズ開始当初の制作陣の思いと一致する。刑事という職業を選んだ一人の女性は、「THE FINAL」でどんな決断を下すのか? 女性の共感を呼ぶすみれのキャラクター像が、そこにあった。

(C) 2012 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー


ユースケ・サンタマリア(真下正義):真下にだけ関して言えば、(THE MOVIE)3はプロローグ、(THE) FINALが本編。

 真下がやっていたホームページ「真下正義のThe DRAGNET」のトップページの真下は、たばこを吸っていますが、真下はたばこを吸わないんです。当時たばこを吸っていた僕のオフショットがそのまま使われてしまって……」「(THE MOVIE)3で真下が配っていたDVD『THE 交渉マン』は、深夜とかCSで放送されるという構想もあったそうなんです」といった裏話を続々と明かしたユースケ。そんなユースケが演じた真下に関して言えば、確かに「(THE MOVIE)3はプロローグ、(THE) FINALが本編」。「THE FINAL」ではじける真下の署長ぶりにも注目してほしい。

(C) 2012 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー


伊藤淳史(和久伸次郎):和久は、室井さんに青島さんの下で働けと言われて、強行犯係に来たキャラクター。

  2004年3月、和久平八郎役を務めてきたいかりや長介さんが亡くなったことは、「踊る大捜査線」シリーズに大きな打撃を与えた。そして、その遺志を継ぐ大役を任されたのが、その甥(おい)・伸次郎を演じることになった伊藤だった。「THE MOVIE 3」でその役目を全うした伊藤が「THE FINAL」で意識したのは、2年間での和久の成長。「(THE) FINALでは、青島さんを目指した」という伊藤。取調室で、バンッと机をたたく和久の姿には、連続ドラマ第1話の青島の面影も感じられる。

(C) 2012 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー


内田有紀(篠原夏美):実は結婚もしていたし、だんなは陶芸家、双子の子どももいました。

  「THE MOVIE 3」で夏美が結婚指輪をしていたことに気付いていた観客はどのくらいいるだろうか? 「(THEMOVIE)3のときは、結婚していることに本編で特に触れていなかったんです」という内田。9月1日に放送された「THE LAST TV」では、“ママさん刑事”としての夏美の苦悩も描かれた。「THE FINAL」では、「強行犯係の熱血かあちゃんの一面も出ていると思います(笑)」。内田が見せる新たな顔にも注目したい。

(C) 2012 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー


小泉孝太郎(小池茂):出演者の中で一番遊べるのが小池。

 監視カメラシステムC.A.R.A.S.(Criminal Activity Recognition Advanced System)の開発者として民間企業から出向した技術捜査官、警視庁刑事部交渉課準備室CICルーム係長警部、交渉課課長警視と「THE MOVIE2」での初登場から出世を遂げてきた小池。それと共にオタクだった小池がオシャレに洗練され、「THE FINAL」ではさらに異なる顔を見せる。そんな小池のFINALは、しっかりと小池の系譜をわかった上で見つめたい。

(C) 2012 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー


北村総一朗(神田総一朗):「(THE MOVIE)3」で眼鏡を変えました! 小野くんも眼鏡を変えたよね?

小野武彦(袴田健吾):変えました。斉藤は、(「THE MOVIE 2」から)7年経って、髪の毛をちょっと抜いたみたいですよ?

斉藤暁(秋山春海):抜いていないですよ! 僕も眼鏡が変わっています。初めはガラスだったんですよ。それが7年経って、度が入っちゃったの。


 そういえば、三人共眼鏡を掛けているスリーアミーゴス。トリオで眼鏡を掛けていたら、「どなたか外した方が……」となるのが普通だが、「いや、でも年齢的にもあれだし、眼鏡を掛けても違うキャラクターだから、三人掛けてもいいんじゃないですか?」と三人共眼鏡のままになったそう。そんなエピソードも踏まえてスリーアミーゴスの三人が並んでいる姿を改めて見てみると、やっぱりこの三人のチームワーク、絶妙です!

(C) 2012 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー


小栗旬:本広監督からは「(THE MOVIE)3」のときに「踊る」のダース・ベイダーになってほしいと言われていました。

 自らの出演について、「『踊る大捜査線』の中に異物が入ってきた感じ」と言う小栗。「THE MOVIE3」のときにはまだ立ち位置がはっきりとしていなかった鳥飼が、「THE FINAL」ではすっかり悪役ヒーローと化しているように思われる。ファン待望の青島と室井が熱い約束を交わすシーンで二人の間に立つというシーンの撮影もこなした小栗は「青島さんのことも室井さんのことも嫌って撮影に臨みました」。新たな顔を見せ、“役得”を満喫したことを明かした。

(C) 2012 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー

 「上司の反対を押し切って成立した企画の方が、反対されているから用意周到に準備をするし、新しい、観たことのないものになる。青島のような部下がいたら面倒ですけど、自分の『踊る大捜査線』を作ったときに、“青島のような部下”と言えるんだと思います」。亀山プロデューサーは最後にそう語ったが、「踊る大捜査線」シリーズはもともと、そうやって企画を進めた亀山プロデューサーと、監督と役者の自由が利く幅を持たせた君塚良一の脚本、そして、それを楽しんで演出し、演じた本広監督と役者たちによって生まれたサブカルチャーの要素満載の作品だった。それがメインストリームとなっていったように、「自分の『踊る大捜査線』を作れ」と後輩たちにメッセージを送る亀山プロデューサー。『海猿 ウミザル』「SP(エスピー)警視庁警備部警護課第四係」『テルマエ・ロマエ』……。「『踊る』イズム、青島イズムが継承されている」と亀山プロデューサーも認める作品の数々の中に、ヒット作もたくさん生まれている。 さらなるヒット作は誕生していくのか? 「踊る大捜査線」が完結した今、フジテレビ映画の今後も注目される。

「踊る大捜査線」シリーズ
【テレビドラマ】
「踊る大捜査線」1997年1月7日から3月18日まで放送(平均視聴率18.2%、最高視聴率23.1%)
【スペシャルドラマ】
「踊る大捜査線 歳末特別警戒スペシャル」1997年12月30日放送(視聴率25.4%)
「踊る大捜査線番外編 湾岸署婦警物語」1998年6月19日放送(視聴率24.9%)
「踊る大捜査線 秋の犯罪撲滅スペシャル」1998年10月6日放送(視聴率25.9%)
「逃亡者 木島丈一郎」2005年12月10日放送(視聴率15.6%)
「弁護士 灰島秀樹」2006年10月28日放送(視聴率16.8%)
「踊る大捜査線 THE LAST TV サラリーマン刑事と最後の難事件」2012年9月1日放送(視聴率21.3%)
【深夜ドラマ】
「深夜も踊る大捜査線 湾岸署史上最悪の3人!」1998年10月12日から16日まで放送(平均視聴率3.5%)
「深夜も踊る大捜査線2」2003年7月14日から18日まで放送(平均視聴率5.3%)
「深夜も踊る大捜査線3」2010年6月28日から7月1日まで放送(平均視聴率5.5%)
「深夜も踊る大捜査線 THE FINAL」2012年9月3日から6日まで放送
【映画】
『踊る大捜査線 THE MOVIE』1998年10月31日公開(興行収入101億円、動員700万人)
『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』2003年7月19日公開(興行収入173億5,000万円、動員1,260万人)
『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!』2010年7月3日公開(興行収入73億1,000万円、動員570万人)
『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』2012年9月7日公開
『交渉人 真下正義』2005年5月7日公開(興行収入42億円、動員310万人)
『容疑者 室井慎次』2005年8月27日公開(興行収入38億3,000万円、動員290万人)
【ドコモ動画】
「係長 青島俊作 THE MOBILE 事件は取調室で起きている!」2010年6月から7月まで配信(約550万ダウンロード)
【NOTTV】
「係長 青島俊作 2 事件はまたまた取調室で起きている!」2012年8月27日配信開始

文・構成:シネマトゥデイ編集部 島村幸恵

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