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話題のアニメ映画『ベルセルク』に注目!制作現場をリポート!

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話題のアニメ映画『ベルセルク』に注目!制作現場をリポート!

 1989年に連載開始されて以来、20年以上にわたって壮大な物語を紡ぎ上げている三浦建太郎のマンガ「ベルセルク」(白泉社刊)をすべて映像化するという<ベルセルク・サーガプロジェクト>がついに始動! 第1弾としては、ファンの間でも根強い人気を誇る「黄金時代篇」を何と3部作で映画化。そんな全アニメファン必見の2月4日の『ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵』公開を前に、アニメーション制作を務めるSTUDIO 4℃に潜入し、その制作現場を密着取材! ここでしか明かせないウラ話を紹介します。
原作者からOKが出たのは2008年5月30日!

 「ベルセルク」映像化のオファーをもらったSTUDIO 4℃はまず、70秒のパイロット・ムービーを制作。これは原作者から映像化の許可をもらうためはもちろん、自分たちが「ベルセルク」の世界観を「アニメーション作品として作れるのか」という技術的なことを確かめるために制作されたものだといいます。このパイロット版には、監督の窪岡俊之、そしてキャラクターデザイン・総作画監督の恩田尚之など、『ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵』の主要スタッフの多くが参加していたといいます。

 同社社長で本作のプロデューサーの田中栄子は、パイロット版制作にあたって、四つのハードルを課したことを明かしています。その四つ、「甲冑(かっちゅう)での戦闘」「人外の魔物」「群集シーン」「残酷なシーン」はどれも原作マンガを語る上では避けることのできない要素である一方で、映像化するのは至難なものばかり。とりわけ、甲冑に関しては「質感を絵にするっていうのはすごく難しいんですよね。すごく技術のある人じゃないとできない。しかも1枚だけ描けばいいというのではなく、劇場版アニメーションの場合は10万枚近く描かないといけないわけですから、それができるのかどうか、ということですね」とアニメ化することの困難を語っています。

 そうして出来上がったパイロット版を原作者の三浦、そして白泉社の担当編集者が観たのは2008年5月30日。「何で5月30日ってしっかりわかるかというと、その日にレストランを予約してあって、OKだったら行く。もしNGだったら、キャンセルということだったので、日にちがわかるんですね」とプロデューサーの田中は当時を振り返ります。「三浦先生と(担当編集者の)島田さんがモニターの前に座って、それを囲むようにわたしたちが緊張しているわけですよ。で、パイロット版の上映が終わっても、先生たちは黙っていて。だから『もう一回見ますか?』と聞いたら、『じゃあ、もう一回見ましょう』って言って」と話した田中は、三浦からOKをもらったときの言葉がどうしても思い出せないのだという。「『OKです』と言ったのか、『大丈夫です』って言ったのか……それは先生に聞いてみたいですね」。

 その日は無事レストランへ行けたSTUDIO4℃の面々でしたが、原作者からのOKが出たといっても、映画化のスタートラインに立ったばかり。田中いわく、翌日からは早くもシナリオやキャラクターデザインなどの制作を開始したということで、文字通り休むまもなく、映画化の制作に取り掛かったそうです。

 

©三浦建太郎(スタジオ我画)・白泉社/BERSERK FILM PARTNERS

 

プロデューサーの田中栄子

 

このように鉛筆で10万枚を描く……その苦労は想像できません

最初は「黄金時代篇」をやるはずじゃなかった!?

 「ベルセルク」の世界観のベースは14世紀~19世紀のヨーロッパ。ですが、原作の連載開始当初はインターネットが普及していなかったこともあり、リサーチは書籍などに頼ったと原作者は認めています。また、原作の絵柄も連載が進むごとに変化しているため、今回の映画では、キャラクターデザインなどは新たに描き起こし、それを三浦が監修するという体制が取られました。そうした細かい作業の積み重ねにより、原作の世界観は壊さず、現代にアップデートされた「ベルセルク」が誕生しているのです。

 そして、ストーリーに関しても、すでに原作の「黄金時代篇」は1997年10月から半年間にわたって「剣風伝奇ベルセルク」としてテレビアニメ化され、高い評価を受けています。そのため、STUDIO 4℃としては当初、原作で「黄金時代篇」に続く「断罪篇」「千年帝国の鷹(ミレニアム・ファルコン)篇」の劇場映画化をもくろんでいたといいます。しかし、脚本の大河内一楼の「『黄金時代篇』から始めるのでなければ意味がないと思う」という熱意あふれる言葉がきっかけになり、「黄金時代篇」を再度アニメ化する決断をすることになりました。

 本作が映画初監督となる窪岡は「今回の映画は後発の強みを生かし、よりリアリズムに徹した近年の原作の方向性を継承して、『黄金時代篇』をブラッシュアップするという大胆な挑戦をしています」とテレビアニメとの差異を強調。プロデューサーの田中も、「原作で『黄金時代篇』は10巻以上ありますから、テレビシリーズみたいに丁寧に描いていかないと機微が伝わっていかないですよね。逆に、劇場版は大きな流れをどんと伝えるのに向いていますから」とコメントすると、「シナリオの企画で、『何を作るか?』『何を切り口にしたらいいか?』というところから話し合われていますから」と劇場版ならではの切り口を模索したそうです。

 

スタッフの机。原作マンガがずらりと並んでいます!

 

こちらは窪塚監督の机。原作マンガがありますね!

 

本作ではガッツとグリフィスの関係にスポットが当てられています!
©三浦建太郎(スタジオ我画)・白泉社/BERSERK FILM PARTNERS

あれ?2時間半の長編1本のはずだったのに……

 紆余(うよ)曲折を経て、2時間半ほどの長編として「黄金時代篇」の映画化に取り掛かったスタッフたち。2008年8月にはフランスにロケハンに行き、出来上がった脚本を前に「2時間半でいけますよね?」と問われた監督の窪岡は「大丈夫です」と断言。その後は絵コンテのチェックに1年半近くかかったこともあり、結局は3部作に変更されました。当時のことを振り返ったプロデューサー・田中は「監督の言葉をわたしは信じたんですけどね……本当に」と遠い目。3部作になるのは、製作陣にとっても意外なことだったんですね……。

 本来ならば一人しかいないはずの美術監督を6人で分担し、同時並行的に制作が現在も進められている『ベルセルク』。2012年中に3部作を上映するというスケジュールになっていますが、完全新作の長編劇場作品が1年以内に3本連続上映されるのは史上初の試みです。このことについては「実際は長編1本を想定していたので、本当なら公開を2月、3月、4月にしたかったくらいです」とプロデューサーの田中は明かしましたが、すでに完成した第1作は、「本当にこのクオリティーを第3作まで保てるの?」と思うほどの仕上がり。まさにSTUDIO 4℃の真骨頂ともいえる作品になっています。

本作の絵コンテ。さすがに長編1本では無理でした……。

 

3部作になりましたが、ゾッドは1作目から登場します!
©三浦建太郎(スタジオ我画)・白泉社/BERSERK FILM PARTNERS

こだわり抜いたクオリティーには原作者も「頭がおかしい」と絶賛!?

 「ベルセルク」のアニメーション化が可能かどうかというところから制作がスタートしたというのは、すでに紹介したとおりですが、課題だった甲冑や群集シーンを描くために使われたのは、3DCGの技術。3DCGと2Dを組み合わせた、いわゆるハイブリッドといわれる映像は、本作の中で非常に効果的に用いられており、これまでに観たことのない映像をスクリーンで展開させています。

 甲冑一つをとっても、その質感や動き方といった映像面、そして各装甲のつながり、ギャンベゾン(胴衣)への着装法などの設定に関しても忠実に再現。戦闘についても、片刃の日本刀と両刃の西洋刀では剣の振り方が異なります。それらを踏まえた上で、構え、足さばきにいたるまで、本格的な西洋剣術を本作では表現しており、原作者も「『この人たち、頭がおかしい』とそのマニアックさに信頼を深める一方、あとは完成するまで誰も過労死しないことを祈るばかりです」とコメントするほどなのです。

 サウンド面でも、そのこだわりを発揮。主題曲を担当した平沢進はテレビアニメ版の音楽も担当しており、本作の主題曲を任せることについても原作者、そして製作陣が満場一致で決定。出来上がったものは荘厳な、まさに「ベルセルク」の世界観を体現したものとなっています。

 また、劇中音楽は「エヴァンゲリオン」シリーズを手掛けている鷺巣詩郎が担当。世界観を大事にするため、フランスでスコアを書き、ロンドンでレコーディングを行い、日本でミックスしたというだけでも驚きです。田中もその手腕には絶大な信頼を置いており、「本当に素晴らしいですよね」と賛辞を惜しんでいません。

 そして、おそらくアニメファンが最も注目するのは、声優のキャスティングでしょう。主人公ガッツに俳優として活躍する岩永洋昭、グリフィスには櫻井孝宏、そしてヒロイン・キャスカに行成とあを起用し、脇を「けいおん!」などで知られる豊崎愛生寿美菜子ほか、梶裕貴小山力也といった実力派で固めた布陣は超豪華!

 テレビアニメ版からはキャストを一新することになりましたが、そのことについては製作陣、そして原作者も気にしていたとのこと。「面白いことに、声のイメージと人のイメージって似ているんですよ。声から、人のイメージが作られるっていうことは多いんですよね」と語った田中は、「違和感が出ることが怖かった」そうで、あまり先入観は持たず、本作のイメージに合ったキャストを選ぶことに専念したということです。

 声優としての実績がそこまでない岩永を主役級に抜てきしたのも、「性格とか、生き方のスタイルが似ている人」という基準に合致したことが大きな要因になったといい、「ハンサムな人はハンサムな声を出すんですよね」という田中ならではの至言(?)も飛び出していました。

甲冑の一つ一つに魂が込もっています!
©三浦建太郎(スタジオ我画)・白泉社/BERSERK FILM PARTNERS

 

スタッフさんが手で描いた背景

 

こちらはコンピュータで作業中。目が真剣です……

 

イケメン・岩永洋昭が声優を務めたおかげでガッツのイケメン度もアップ!?
©三浦建太郎(スタジオ我画)・白泉社/BERSERK FILM PARTNERS

 

ゲスト声優としてケンドーコバヤシが参加しているのにも注目です!
©三浦建太郎(スタジオ我画)・白泉社/BERSERK FILM PARTNERS

<ベルセルク・サーガプロジェクト>の行方は?

 今年2月の『ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵』を皮切りに、6月23日に『ベルセルク 黄金時代篇II ドルドレイ攻略』、そして冬には『ベルセルク 黄金時代篇III 降臨』が公開される「ベルセルク」。第3部の終わりには<ベルセルク・サーガプロジェクト>の予告編を流すということで、今後は「断罪篇」「千年帝国の鷹(ミレニアム・ファルコン)篇」の映像化にも挑むことを明言しています。次作もまた劇場アニメなのか、それともOVAなのかなど、詳細はまだ決まっていない様子ですが、『ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵』を観る限り、ファンも納得のクオリティーで届けてくれることは間違いなさそうです!

映画『ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵』は2月4日より全国公開
映画『ベルセルク 黄金時代篇II ドルドレイ攻略』は6月23日より全国公開
映画『ベルセルク 黄金時代篇III 降臨』は2012年冬公開予定

劇場版『ベルセルク』のキャラクターたち
©三浦建太郎(スタジオ我画)・白泉社/BERSERK FILM PARTNERS

文・構成:シネマトゥデイ編集部 福田麗

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