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『ラストキング・オブ・スコットランド』フォレスト・ウィッテカー

今週のクローズアップ

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今週のクローズアップ フォレスト・ウィッテカー

話題の映画の中から、今週は10月5日発売のDVD『ラストキング・オブ・スコットランド』に主演して、2007年アカデミー主演男優賞を受賞したフォレスト・ウィッテカーをクローズアップします。ハマリ役は多くとも、アタリ役に恵まれてこなかったウィッテカーは無冠の帝王と形容されたことも。それでもめげずに俳優活動を続けてきた、ウィッテカーの栄冠への道を振り返ってみましょう。

栄冠への道:その1 貧乏だって関係ねぇ~! 役選びは自分の信念を貫くべし!

 1961年、テキサス州ロングビューで生まれたウィッテカーは、ロサンゼルスで育ち、南カリフォルニア大学に進学します。大学在学中はオペラ歌手になろうとしますが、同時に興味のあった俳優業に転向を決めます。


 そしてテレビドラマをへて、21歳のときに『初体験/リッジモント・ハイ』で映画デビューを果たします。作品はB級感漂う青春群像劇ですが、俳優の名前を見るとフォレスト・ウィッテカーはもちろん、フィービー・ケイツ、ショーン・ペン、ニコラス・ケイジなどそうそうたる顔ぶれ。その後、『ハスラー2』『グッドモーニング、ベトナム』などで出番はわずかながら印象的な役を演じ、役者としての自信を深めていきます。


 そんなウィッテカーですが、ニューズウィーク誌に対して「黒人俳優のために書かれた役柄ではない役を演じてきた」と当時の心境を告白しています。『グッドモーニング、ベトナム』で演じた役はユダヤ人、『ハスラー2』の役はもともとヤッピー(※1)だったそうで、これらの役選びに家族は疑問を抱いていたそう。ウィッテカーは「たいしてお金を稼いでいたわけじゃないし、大変なこともあった」と語っていますが、後に『ラストキング・オブ・スコットランド』でようやく肌の色が同じのウガンダの元大統領イディ・アミンを演じる決断ができたのは、この当時の努力の賜物(たまもの)なのです。


※1アメリカで、第二次大戦後のベビーブーム期に生まれた世代で、都会やその近郊に住んで知的職業に就いているエリート青年をいう。

 

Ron Galella/WireImage.com
昔は服選びも大変だったよ……

栄冠への道:その2 体型なんて関係ねぇ~! 殺し屋だって引き受けるべし!

 ウィッテカーが世界的に注目を浴びたのは、クリント・イーストウッド監督の『バード』での熱演です。実在した名ジャズ・プレイヤー、チャーリー・パーカーが破滅へ向かう姿を見事に表現し、1988年にカンヌ国際映画祭主演男優賞を獲得します。主役もでき、脇役もこなせるという役者としてのふり幅の大きさはこのころ培われ、『クライング・ゲーム』『プレタポルテ』『フェノミナン』などでは脇役に徹し、幅広い役柄をしなやかに演じています。


 ひさびさの主演作となったのは『ゴースト・ドッグ』。なんとこの映画では殺し屋役を演じています。優しい顔立ちとやや太めの体型に殺し屋稼業が務まるのかと疑問の声が聞こえてきそうですが、実は設定がとても変わっています。まず依頼人との連絡には伝書バトを使い、そのハトたちとともに暮らすというユニークさ。さらに武士の生き方や哲学に共鳴し、自分を助けてくれた恩人には終生の忠誠を誓うという殺し屋とはかけ離れたサムライ魂の持ち主。今までなかった殺し屋像にウィッテカーの演技がピタリとハマリ、不思議なムードを醸し出しています。

 

Jeff Vespa/WireImage.com
意外にもてるんだぜ……

栄冠への道:その3 売れなくたって関係ねぇ~! 監督だってやっちゃうぜ!

 ウィッテカーは、1990年代に入ると俳優業以外にも意欲的に取り組むようになります。1993年にはテレビ用ながらマイケル・ビーン主演のドラマを初監督。またホイットニー・ヒューストン主演の『ため息つかせて』、サンドラ・ブロック主演の『微笑みをもう一度』といった女性を描いた作品ではその手腕を見せ、マルチな才能を発揮。各方面から、監督としても注目を浴びることになりました。


 そして2000年に入るとマルチメディア会社スピリット・ダンス・エンターテイメントを設立し、『グリーン・ドラゴン』の主役と製作総指揮を務めるなど幅広い活躍を見せ始めます。2004年には監督作第4弾『ホワイト・プリンセス』を発表。こちらは大統領の娘がシークレットサービスと恋に落ちるというラブコメディーで、監督としてのウィッテカーは女性が主人公の優しいタッチの作品が好きなようです。

Jean Baptiste Lacroix/WireImage.com
優しそうでしょ? ボク!

栄冠への道:その4 たれ目だって関係ねぇ~! 夢を信じて精進すべし!

 2006年! 彼の役者人生を大きく変えることになった『ラストキング・オブ・スコットランド』に出会います。本作では、悪名高い実在のウガンダ大統領イディ・アミンを鬼気迫る熱演。一見するとウィッテカーは、笑福亭鶴瓶に似たタレ目で笑う人の良さそうなキャラクターというイメージですが、英雄として国民の期待を一身に集めながらも、権力の座に就くと独裁者へと変ぼうし、冷酷な殺人を繰り返すという2面性を持った難しいキャラクターを見事に演じきったのでした。


 ウィッテカーはその迫真の演技が絶賛され、同年の主演男優賞をほぼ総ナメに! アカデミー賞でも初ノミネートにして見事オスカー獲得を果たすという快挙を成し遂げます。受賞時のステージ上では「昔ドライブインで車の中から映画を観ていたわたしが出演する側になれるなんて……。夢は努力すればかなうものなのですね」とスピーチ。作品の舞台となっているウガンダへの気遣いも忘れず、「ウガンダの国民に対して、この映画に精神を与えてくれたことを感謝したい」と力強いメッセージを送った。これからも、いろいろな映画で違った顔を見せてくれるウィッテカーからますます目が離せません!


Jeffrey Mayer/WireImage.com
演説姿は、お手のものさっ!

文・構成:シネマトゥデイ編集部

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