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『ロード・オブ・ザ・リング』記者会見

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『ロード・オブ・ザ・リング』来日記者会見

左から、バリー・M・オズボーン、ドミニク・モナハン、オーランド・ブルーム、イライジャ・ウッド、リヴ・タイラー、ショーン・ビーン

去る2月20日、アカデミー賞13部門にノミネートされ、全世界で大ヒットの大型ファンタジー『ロード・オブ・ザ・リング』の監督、キャスト総勢6名が来日した。また、原作「指輪物語」の大ファンでもある内山理名さんが花束を持って応援に駆けつけた。
都内・帝国ホテル          

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バリー・M・オズボーン(以下バリー):今日はわざわざ集まってくれてありがとうございます。大変温かい歓迎を受けて感激しております。私たちは、この映画を非常に誇りに思っています。私の横にいる素晴らしいキャストと一緒に来日できて、すごく光栄です。ここにいることを、大変嬉しく思っています。


オーランド・ブルーム(以下オーランド):本当にスゴイ歓迎で感動しているよ。どうもありがとう! はるばる東京まで映画と一緒に来ることができて、すごく嬉しい。この映画を作るのはとても楽しかったから、それと同じくらい観客の皆さんにも楽しんで欲しいな。


リヴ・タイラー(以下リヴ):ハロー! この会見は、私の人生の中で1番スケールの大きな記者会見だから、とても緊張してるわ。東京にまた戻ってくることができて、とても嬉しい。この映画を誇りに思っているので、皆さんにも楽しんでいただきたいです。


イライジャ・ウッド(以下イライジャ):ハーイ!(ちょっとおどけて) やあやあ、みんなこんにちは。いやあ、ほんとにすごいね。こんなに沢山の人が来てくれて、すごく光栄だよ。映画と同じように、長い旅をしてやっと東京に来たってカンジ。実は僕、日本は初めてなんだ。だから、めちゃくちゃ興奮してるよ。僕たちが楽しんだように、みなさんにも映画を楽しんで欲しいな。


ドミニク・モナハン(以下ドミニク):「映画の宣伝のためにどの国へ行きたい?」と聞かれたら、一番に日本と答えたと思う。そのくらい僕は寿司とか、日本の全てが大好きなんだ。これは素晴らしい映画なので、みんなに楽しんで欲しいよ。

ショーン・ビーン(以下ショーン):最後だから、みんなの繰り返しにならないようにしなくちゃな。でも、僕もみんなと同じ気持ちだよ。アジアに来るのは初めてで、とても嬉しい。ぜひ映画を楽しんで下さい。
Q:過酷なロケだったと聞きましたが、肉体的にも精神的にも相当大変だったと思います。みなさんは撮影をどうやって乗り切ったのでしょう? 苦労した点とリフレッシュの方法などをお聞かせ下さい。


ショーン:確かに非常に長い撮影だったから、みんなすごく疲れていたよ。戦闘シーンがとても多かったし天候もひどかったので、たまには休みたくなる時もあったよ。でも、この映画はタイトル通り、まさに“仲間”の映画なんだ。スタッフやキャスト全員が“仲間”として助け合えたからこそ、この大変な撮影を乗り越えられたんだと思う。


イライジャ:その通り! 僕もショーンに賛成。ピーター・ジャクソン監督の持つ情熱と僕らの情熱が上手く調和していて、自分たちのエネルギーがなくなると、ピーターが新しいエネルギーを僕らに注いでくれたんだ。大変なスケジュールの中で、みんなで力を合わせていい関係を保てたし、お互い親しくなることもできた。だから支え合うことも出来たんだと思う。たまにみんな集中しすぎて、「今、ボクは一体何をやっているんだろう?」って周りが見えなくなったりしたけど、そんな時は少し距離をおいててゆっくり周囲を見渡した。自分たちがしていること、すべきことをピーターが常に思い出させてくれたからこそ、僕たちは撮影を続けることができたんだ。でも、本当にすごく大変な撮影だったよ。


リヴ:撮影中は、ニュージーランドという素晴らしい環境の中で、すごくクリエイティブな力を持った人たちに囲まれて非常にいい撮影ができたわ。通常の撮影とは、全く違った環境の中で撮影する楽しさがあったの。一年半という長い撮影の期間中は、自由もあったし、なによりも毎日が新しいチャレンジの連続だったわ。その間、もちろん仲間たちと遊ぶことも出来たし、自分の演じるキャラクターを発見していく喜びもあった。困ったときには、俳優同士がお互いを助合うという雰囲気が常にあった。そして、トールキンの世界を熟知したスタッフたちが一緒にいてくれたことが、大きな支えでもあったわ。

オーランド:とにかく、ニュージーランドは信じられないくらい美しい国なんだ。ピーターは、その風景をすごく上手く使いこなした。僕たち俳優は、オフのときはサーフィンや山登りをしてリラックスした。この撮影は、今までにないスペシャル・プロジェクトだ。そういうプロジェクトに関われたこと自体、すごくラッキーだと思う。確かに撮影は大変で、例えば9週間も夜間撮影が続いたりして辛いこともあったけど、中心にいた人たちが常に集中力とエネルギーを持ち続けてくれたから、とても楽しい経験になった。セットも和気あいあいとしていて楽しかったし、僕にとってはこの映画の撮影がアドベンチャーのようなものだったよ。


Qオーランドさんに質問します。黒沢監督の作品を見て、その中に描かれている侍の精神を役に取り入れたそうですが、どの作品のどんな部分を参考にしたのですか?


オーランド:『七人の侍』だね。エルフ族は超自然的な力を持ち、力強く、感覚が鋭く、反応が素早く、集中力も高くて、威厳を持った種族。そういう役をどんなふうに演じるべきか模索していたときに、『七人の侍』を観たんだ。そして侍のキャラクターから、いつも背筋をシャンと伸ばし、どんな困難にも迅速に対応する反応の早さを学ぶことが出来たよ。

Qバリーさんはこれまでのキャリアからすると、いわゆる「ピーター・ジャクソン組」ではないように見受けられます。どういきさつで、ジャクソン監督とコラボレーションすることになったのでしょうか?


バリー:彼のチームの一員、例えばアートディレクターや、他のスタッフとは個別に仕事をしたことがあるんだよ。だから、彼を全く知らなかったわけでもないんだ。この映画は、史上空前のスケールで製作された映画だ。クルーが2000人もいて、撮影班が3班に分かれて絶えず撮影をしているという状態だった。主要な撮影班は、もちろんピーターが指揮をしていて、他の班にはそれぞれチーフがいたんだ。さらに、空の撮影をする班、戦闘シーンを撮影する班、ミニチュア、これがミニチュアってよべないくらい大きい模型だったんで、我々は“ビッグチュア”と呼んでいたけどね(笑)。その撮影をする班だけでも4班あって、それらをすべて統括していたのはピーターだった。つまり、それだけ大がかりで困難な撮影だったからこそ、僕のようなエキスパートが必要だったんだ。そんなわけで、この企画に加わったんだよ。

Qショーンさんの演じるボロミアは人間の「悪」の象徴のようなものですが、それについてどう思われますか?

ショーン:この役の持つ一番重要な点は、人間が力を持ち、それを使用する意思が悪意に変わったときに一体どうなってしまうか、という一種の警告なんだと思う。最終的には物質的なものではなく、精神的なものがより強力であり、大切ってことさ。

そして、ボロミアは間違ったものの捉え方をした場合に、どういったことが起こってしまうのかという危険を社会に知らしめる役目がある。この映画が持つ大切なメッセージは「希望」だ。一人一人は弱くても、結束すればどれほどの力になるか、堕落してしまうような危険がある中で、どうやって生きていけばよいのかを伝えようとしているんだ。


Qもし指輪があったらどうしますか?


イライジャ:僕は昔から透明になりたいと思ってたから、指輪をはめていろいろなところへ行ってみたいな。特に、閉園後のディズニーランドに行って、自分のお気に入りの乗り物に好き放題乗りたいな。


ドミニク:絶対なんか出るぞ。怖いぞぉ。


イライジャ:(笑)うん、そうだろうねえ。でもやっぱり姿を消せるとしたら、これっきゃないね。

Qアカデミー賞に本年度最多の一三部門もノミネートされましたが、それについての感想をお聞かせください。


リヴ:こんなにたくさんノミネートされただけで、胸がドキドキしちゃうわ。一番嬉しいのは、ふだん裏方で必死に働いてくれていた人たちが認められ、ノミネートされたこと。撮影に、衣装に……。もちろんバリーも!! 私たちはこうした華やかな席でスポットライトを浴びるけれど、映画は私たちだけで作られたんじゃないから。彼らに、スポットライトが当たることが何よりも嬉しいわ。本当にそれが一番嬉しい。


ドミニク:スタッフたちは、撮影前にニュージーランドで7~8年もかけてリサーチをしたんだ。衣装だって、ドワーフ族と人間との違いをいかに個性的にうまく見せるかってことを考えてくれてた。それに、この映画は3本同時に撮影を進めたわけだから、大変さは並大抵ではなかったはず。だからピーターを始め、スタッフみんなの努力が評価され、アカデミー賞でも良い結果を生むことを願っているよ。


バリー:こういう認められ方をされて、本当にやった価値があったと思えるよ。私たちはこの映画を誇りに思っているし、素晴らしい映画だと自負している。自分たちだけでなく他の皆さんも同じように感じてくれたということが大変嬉しい。当初、このような大作はできるわけがない、と言われてたんだ。作品そのものが素晴らしいという自信はあったが、全てをニュージーランドで撮影することなんかできるわけがないとか、特に音響に関するポストプロダクションなんて、到底無理だと言われていた。しかし、結局このように素晴らしい映画が完成して、人々に認められ、ノミネートもされた。このことで、自分たちは決して間違っていなかったと、やっと思えることが出来たんだ。

イライジャ:なんだか現実じゃないみたいで信じられない。撮影中は、演技というよりも役柄の人生そのものを生きているみたいだった。ある大きな出来事を、一緒に暮らして経験させてもらったという感じがあって、それはとても身近な感覚だったんだ。だから映画が公開されても、まだ半分信じられなかった。みんなの努力が報われたということが、何よりも嬉しいね。


Q:もしほかのキャラクターを演じるならどの役を演じたいですか?


ドミニク:アルウェン!(爆笑) あのドレス、着てみたい!
イライジャ:ゴラムだな。今回はほとんど出なかったけど、拷問を受けたり、大変な事になってるけど……。子供の頃から、お気に入りのキャラクターなんだ。


リヴ:私の乗ってた白い子馬かな。(笑)


オーランド:ヴィゴだね。アラゴルンじゃなくて、ヴィゴ本人(笑)。


バリー:ピーター・ジャクソン(笑)。役で言えばサルマン。というか、クリストファー・リー。彼が日本に来ていたら、もっと楽しかったと思うよ。彼は言葉を習得するのがものすごく早いんだ。日本語も、とても流ちょうに話せるんだよ。
ドミニク:ホビットたちのスタンド・インだったケレンだね。僕らは彼の動きや仕種を鏡になったように映して、ホビットというキャラクターを作り上げていったんだ。彼とは個人的にも親しくなったし。

Qホビットの持つ陽気な生活は、物語の進行に連れて、徐々に複雑なものになっていくと思うのですが、その気持ちを表現するに当たって気を付けた点はありますか?


イライジャ:撮影自体がすごく楽しかったから、陽気なホビットを演じるのはそれほど難しくなかった。それに撮影前の2ヵ月間に渡るリハーサル期間の間に、皆との友情を築き上げることが出来たから、僕たちはお互いに自然と“仲間”になることが出来たんだ。物語が進むに連れ、仲間たちはここに違う運命をたどっていくようになるから、アプローチの仕方は変化してくる。役について特に相談はしなかったけど、4人で集まっていればいつでも陽気なホビットたちに戻れたよ。


ドミニク:4人の仲間は、なにも知らない無垢な青年たちだよね。村を出たこともない彼らがシャイアを一歩出た瞬間、彼らの運命は大きく変わる。4人はそれぞれ違うけど、みんなはいろいろな人々との出会いから確実に成長していくんだ。互いに励まし合いながらね。俳優同士でも、そういう関係が自然に生まれていて楽しかったな。こんな体験が出来るのは、この映画ならではだったと思うよ。


Q最後にバリーさん、今日の記者会見の感想を聞かせてください。


バリー:とても楽しかった。大勢の人に来ていただいて感謝しています。日本のプレスシートは素晴らしい出来だから、絶対に持って帰るつもりです(笑)。
私たちが楽しく撮影したように、観客の皆さんにもこの映画を楽しんで欲しい。今日は本当に、どうもありがとう。

(森田真帆)

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