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「どうする家康」山田裕貴、序盤のアドリブがカギに 台本を超えた瞬間振り返る

第43回「関ヶ原の戦い」より山田裕貴演じる本多忠勝
第43回「関ヶ原の戦い」より山田裕貴演じる本多忠勝 - (C)NHK

 松本潤主演の大河ドラマ「どうする家康」(毎週日曜夜8時~NHK総合ほか)で徳川家康(松本)の家臣たちの中でもとりわけ強い猛将・本多忠勝(平八郎)を演じた山田裕貴。黒の面頬に蜻蛉切(忠勝が戦場で愛用したという槍)という出で立ちも反響を呼んだ山田が、本キャラクターの裏側や、松本との共演について語った。

【画像】「どうする家康」関ヶ原の戦い名場面集

本多忠勝の人柄は衣装にも表れている

 大河ドラマへの出演は2017年の「おんな城主 直虎」(井伊家の家老・庵原助右衛門朝昌役)以来、約5年ぶり、2度目となる山田。演じる忠勝は、ドラマの公式サイトのキャラクター紹介には「生涯戦うこと57回、かすり傷一つも負わないといわれる戦国最強武将のひとり」とある。約1年半にわたって演じた忠勝について、山田は「人のことを思える人」だと評する。

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 「衣装として身につけているものなども含めて感じられたのは、忠勝は助けてくれた人に対して、ものすごく敬意を持っているし、人のことを思える人だということ。例えば、肖像画にもあるように忠勝の冑には鹿の角がついていますが、家康、忠勝には戦のなかで道に迷った時に、鹿に導いてもらったという逸話があります。数珠は、自分が殺した人、あるいは失った人たちの命を背負って戦うという意味合いがあるらしく。そんな人なんだというのは、初回から頭に置いていました」

ようやく頼ってくれた“殿”松本潤に感激

第43回より忠勝と家康(松本潤)

 忠勝は初回から常に家康の側に構えていたが、山田自身「どのように忠勝は殿の隣にいたんだろうっていうことだけを考えていた」と振り返る。12日放送・第43回では、家康率いる軍が石田三成(中村七之助)の軍と激突する「関ヶ原の戦い」が描かれた。その時に家康を一番近くで守っていたのが忠勝だった。天下分け目の戦いと呼ばれる激戦だが、本シーンでの忠勝を山田は以下のように振り返る。

 「実は、関ヶ原の地にいた昔からの徳川派の武将って忠勝と井伊直政(板垣李光人)だけなんですよ。福島正則(深水元基)、黒田長政(阿部進之介)、藤堂高虎(網川凛)が前線に張っている。彼らはみな元豊臣派だったのでもし彼らに裏切られたら総崩れとなってしまう。最初は、忠勝は前線にいるものだと思っていたんですけど、実は一番殿の近くにいた。おそらく、それは殿が福島たちに裏切られた時に守れるよう布陣していたんじゃないかと。ただ、シーンとしては思いを吐き出す場面があまりなかったので、佇まいだけで感情を見せなければいけない難しさがありましたが、忠勝にとって殿の命が一番で、この戦いで自分は死んでもいいと思っている、といったことを考えていました」

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 劇中、主従関係の設定で共演した松本とはプライベートでも親交が深く、山田がパーソナリティを務めるラジオ番組「オールナイトニッポンX」で、松本が山田の誕生日を祝福してサプライズ出演することもあった。松本との関係について山田は「プライベートと撮影現場にいる時の自分たちは全く違う」と話す。

 「殿に何かあったら寄り添っていようという姿勢は貫いていました。例えば、松本さんから何かを聞かれたら真剣に考えて答えようとか。本当に家康と平八郎みたいな感覚で現場にいましたけど、一度だけ、松本さんが“この言い方さ、もっとこう言った方がいいかな”ってぽろっと聞いてきてくれたことがあって、“救われた”と思いました。“よかった、やっと頼ってくれた”と。すごく嬉しかったです」

序盤のアドリブが役づくりの手掛かりに

 初回で若かりし家康(松平元康)が大高城に家臣を残して逃走した際、力ずくで連れ戻したのが忠勝だった。主君・今川義元(野村萬斎)が討ち死にしたうえに織田軍が迫り、恐怖に耐えきれなくなった家康。忠勝は海で家康を見つけるなり槍を手に追い詰め、「恥ずかしくないのか!」「主君などと……俺は認めぬ」と怒号を飛ばした。そこから月日は流れ、徳川と豊臣軍の対決「小牧・長久手の戦い」の前夜を描いた第31回「史上最大の決戦」では、家康の逃走劇はもはや笑い話となっていた。忠勝はここでも「今もまだ認めておりませぬが。天下をお獲りになったら、考えてもようござる」と憎まれ口をたたいていたが、かつての意味合いとは全く異なる。山田は「種明かしをすると、第2回ですでに忠勝は家康のことを認めています」と話す。

 「これは台本に描かれていたのではなく、僕が演出の方に提案させていただいたことなんですが、大樹寺で殿が家臣たちを助けるために腹を切ろうとしたとき、“虎の目”を宿した忠勝が殿の目を見て1歩下がっているんです」

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 “虎の目”というのは、家康が幼いころ信長(岡田准一)に「白兎」と呼ばれ、いたぶられていた日々の中で、ある時“竹千代は兎ではない! 虎なんじゃぞ!”と牙をむいた回想シーンで登場したもの。その際、信長は「そうじゃ、その目じゃ」と家康の勇気を称えた。その時の気持ちを思い出した家康が、“虎の目”になったという流れだ。

 「その後、今度は大樹寺に隠れていた殿が門を開けて松平昌久(角田晃広)に宣戦布告し、“そなたたちのことはわしが守る!”と言い放つところでも、忠勝が1歩下がっています。それ以降は信長が来ようと、信玄(阿部寛)が来ようと引き下がるまいと決めていました。その時点で“俺を1歩退かせたのはこの男しかいない”と忠勝が家康を認めていることにしようと。だから忠勝は口で“認めていない”って言っているだけなんです」

 なお、キーとなったセリフ「主君などと……俺は認めぬ」は、第1回のラストで山田がアドリブで口にしたことも。迫りくる織田軍にガタガタ震える家康に、家臣たちが口々に「どうする殿!?」と指示を仰ぐ場面。忠勝は台本上では「……」だったが、山田が「俺は……認めぬ」と口にしたところ、そのまま使われたという。山田は「台本を超えた瞬間から、ようやく役を生きることができたと感じられる」「思ってもみなかった感情になる瞬間が面白い」と思い出深い瞬間を噛みしめていた。

 取材時はクランクアップ前日だったが、山田は「武士としてまだ戦っていたいという気持ちと、引かなければならないという思いがグルグルしていて……。僕自身は引き際がわかっている武士の方がかっこいいと思っている。だけど、殿に感化されて、もっと戦いたいと思ってしまっている忠勝の武士としての部分が拮抗しています」と吐露し、忠勝役への思いの丈をうかがわせた。(編集部・石井百合子)

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