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大沢たかお、初日は今も怖い それでも挑んだ『沈黙の艦隊』ダークヒーローにかけた思い

ついに実写映画化『沈黙の艦隊』で主演を務めた大沢たかお
ついに実写映画化『沈黙の艦隊』で主演を務めた大沢たかお - 写真:上野裕二

 35年前、国会でも話題にのぼるなど各方面で論争を巻き起こした漫画が誕生した。日米が極秘裏に建造した原子力潜水艦で突如反乱、逃亡し、独立国「やまと」建国を全世界に向けて宣言するという、かわぐちかいじの衝撃作「沈黙の艦隊」だ。実写化は不可能と言われていたが、令和のいま、満を持して映画化。プロデューサーにして、主人公の海江田四郎役を務めた大沢たかおは、なぜこの問題作に挑んだのか、心のうちを明かした。

【動画インタビュー】大沢たかお、実写版『沈黙の艦隊』を語る!

 大沢が最初に実写化の企画に触れたのは、映画『キングダム』シリーズの撮影で移動中の新幹線の中だった。両作をプロデュースし、常々「何か面白いことをしたいですよね」と語り合っていたという、松橋真三プロデューサーから海江田役をオファーされたという。「もともと原作は読んでいましたし、僕らがよく話し合っていた、未来の日本はどうなるのかといった話ともリンクする物語ですから、魅力的だと思いました」

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 だが「正直、実現は難しいと思っていました。夢物語みたいな感じでしたね」という大沢。機密事項だらけの潜水艦が舞台で、核ミサイルの使用が争点となる物語だ。「核に対していろいろな意見がある日本ですから、ものすごく長い道のりになると思ってました」と明かす。

「王騎は陽、でも海江田はダークヒーローで、真逆です」

 現実味を帯びてきたのは、Amazonスタジオが製作に名乗りをあげてから。「防衛省や関係各所にご協力をお願いしたら快諾していただけて、あわてて準備をはじめた覚えがあります(笑)。とはいえ、半年以上はあったので、作品にはしっかり向きあえました」と笑顔。原作者のかわぐちかいじにも、プロデューサーとしてあいさつに行った。「やはり作品は先生の大切な子供ですから、一度ちゃんとお会いして、気持ちを理解していただかないと、と思いました」。その言葉には、同じクリエイターとしての愛があふれている。かわぐちは快く協力を約束してくれたという。

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 大沢といえば、7月に公開された前述の『キングダム 運命の炎』では王騎将軍を演じ、その圧倒的な存在感や、驚異的な肉体改造が多大な反響を呼んだ。王騎のカリスマ性の高さは海江田に通じるものがあるが、「王騎は陽、でも海江田はダークヒーローで、真逆です。海に潜って隠れて逃げて、みんなを混乱させてパニックに陥れることを目的にする主人公は、あまりほかにいないと思います」と海江田のあり様を解説しつつ、「本人なりには、ちゃんとした思いがあるんですけどね」と付け加えた。

 王騎と海江田が世に出るタイミングは、2か月しか開いていないが、大沢は「自分としてはぜんぜんダブっていないんですよ。実際の撮影時期は1年以上空いていて、海江田のほうが後ですから。みなさんの目に触れる時期が近いというだけで」と話しつつ、「公開時期に関しては僕の範疇ではないのですけど、お客さんがキャラクターをダブらせて見てしまって、ピュアに楽しめなくなるのはよくないと思っています」という。

「本当の勝負はこれから」

 少しでもよい状況で観てほしいと観客思いの姿勢を見せるものの、「初日が近づいてくると恐怖を感じるんです」と正直な感想を漏らす。『沈黙の艦隊』は8月に行われた完成披露で一度お披露目されているが、「あの場にいらしたのは、作品やキャストに興味を持ってくれて好意的に観てくださる方たちだったと思います。喜んでくださったのはうれしかったですけど、本当の勝負はこれから」と、9月29日の公開初日を前に緊張を見せる。

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 今でも公開初日の前日は落ちつかず、当日も「いま10時の回がはじまったな」などと気になるのだという。「舞台挨拶があったりすると、登壇前に『これくらいの興行成績になりそうです』なんて、関係者の方から耳元でささやかれるわけですよ(笑)。良い時ばかりではないですからね」と苦笑いを浮かべ、「例えば日本に天災や大きな事件事故が起きたら、映画どころではなくなる。コロナ禍で映画館に行けなくなりましたよね。何が起こるかわからないのが映画ですから」と危機感をにじませた。

 それでも、内容に関しては「ぜひ観ていただきたい」と自信を見せる。「今回、海上自衛隊の方々がこの作品に意気を感じてくださって、何でも協力すると言ってくださいました。潜水艦の横に小型カメラを付けて潜ったり、走る姿を上からドローンで撮ったり、極秘事項の多い潜水艦をそんなふうに撮影できたのは世界でも稀だと思います」と見どころを挙げた。さらに「自衛隊や米軍はもちろん、どんどん決断しなきゃいけない事項が出てくる政治ブロックや、それを見たマスコミが自分たちはどうするのかを考えたりと、海江田が引き起こしたことに周囲が巻き込まれていく。とても見ごたえがあると思います」とアピールした。

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 30年以上前の作品だが、現在の日本が置かれた状況にリンクする部分も多い。「ロシアとウクライナの問題や、潜水艇の事故など、残念ながら怖いことがいろいろ起きました。『圧壊』なんて、この原作でしか知らない言葉でしたからね。そういう意味では、いま、作られるべくして作られた作品なんだなと思います。誰の力というより、何かに後押しされるようにできたんでしょうね。起承転結もふくめ、いままで見たこともないような内容です。新しいものを見たい、刺激がほしいという人には、最適だと思います」と断言。「海江田の起こしたとてつもない事件を、一緒に体感してもらえるとうれしく思います」と強い思いを明かした。(文・早川あゆみ)

映画『沈黙の艦隊』は9月29日より全国公開

大沢たかお、作られるべくして作られた作品 映画『沈黙の艦隊』インタビュー » 動画の詳細
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