ADVERTISEMENT

映画『キングダム』シリーズは何がそんなに面白い?

シリーズ第3弾『キングダム 運命の炎』は7月28日公開
シリーズ第3弾『キングダム 運命の炎』は7月28日公開 - (C)原泰久/集英社 (C)2023映画「キングダム」製作委員会

 昨年夏に公開されるや、2019年の1作目『キングダム』に続いて興行収入50億円を突破した『キングダム2 遥かなる大地へ』。そして今年の夏もまた映画『キングダム』が劇場に帰ってきます。シリーズ第3弾の『キングダム 運命の炎』(7月28日公開)では原作前半の山場“馬陽の戦い”と重要なエピソード“紫夏編”が描かれます。近年の興行状況を見てもここまで成功を収めている“実写邦画”は珍しく、『キングダム 運命の炎』も好成績が見込まれます。今回はなぜ映画『キングダム』がここまで成功を収めたのか、何が観客の心を捉えたのかを追っていきたいと思います。(文:村松健太郎)

【画像】『キングダム 運命の炎』15名のキャラクタービジュアル一挙紹介

■圧倒的な原作人気

ADVERTISEMENT

 映画『キングダム』シリーズの成功の理由ですが、まず、なんと言っても圧倒的な原作人気の高さがあります。原泰久による原作コミックはこの春までの累計発行部数が9,700万部(単行本68巻)という大ベストセラーです。2020年の第60巻では初版だけで100万部を記録しています。歴史大河モノで、しかも中国の歴史を取り扱っているという内容でここまでの大ヒットはちょっと例を見ない大成功です。もちろん原作ファンが多ければ多いほど実写やアニメといった他媒体への移行については、反発を生むリスクを伴う可能性もあるわけですが、映画『キングダム』はその部分も丁寧にくみ取って映画化しました。

■ファンファーストの脚本

 映画『キングダム』シリーズは、なによりもまず、長年原作を応援し続けてくれているファンファーストを意識しています。そのことがよくわかるのが映画シリーズの脚本に原作者の原が加わっていることです。原作者が実写映画化の際に脚本にまで参加するという例は珍しい例ですが、映画の『キングダム』が9,700万部のコミックを手に取ってくれているファンに満足してもらうには、物語の根幹に原作者が関わる必要があったのです。原作の連載と並行しての作業ですので、決して簡単なことではなかったと思いますが、映画3作全てに原は脚本として参加しています。また、共著という形で「ラストマン-全盲の捜査官-」「TOKYO MER~走る緊急救命室~」などヒット作を手掛け続ける黒岩勉が参加しているのも大きいでしょう。原作の要素と映画的見せ場の双方を高いレベルで両立させています。

ADVERTISEMENT

■隅々まで埋め尽くす豪華キャスト

 近年まれにみる歴史大作シリーズとなった『キングダム』ですが、それを彩るキャストの豪華さもまた“売り”の一つでしょう。山崎賢人(崎はたつさき)は今や圧倒的な主演俳優です。また山崎とメインコンビを組む吉沢亮や、キーパーソンの王騎将軍役を見事な肉体改造で挑んだ大沢たかおに加えて、橋本環奈清野菜名長澤まさみといったヒロインも実に魅力的です。そして1作目には高嶋政宏本郷奏多要潤、2作目からは豊川悦司玉木宏佐藤浩市が登場。今夏の3作目からは山本耕史山田裕貴片岡愛之助が参加しています。これら以外にも隅々まで“見たことがある役者”で埋め尽くされていて、まるでNHK大河ドラマを見ているようです。

■大々的なロケを行う本物志向

 映画は全て創作物です。そんな映画の勝負所は観客に“創作物感”を上回る説得力があるかにかかってきます。その点、映画『キングダム』シリーズは大掛かりなロケを敢行して、それに応えています。1作目は中国浙江省の象山影視城での撮影に加えて、近郊の平原で100頭ほどの馬を使ったダイナミックなシーンを撮り上げ、兵士役のエキストラはのべ1万人に上ったと言われています。2作目以降はコロナ禍もあって中国ロケが難しくなりましたが、日本で撮影したカットと、佐藤信介監督のイメージをもとに中国のスタッフが撮影したカットを組み合わせるなどして、躍動感のあるシーンを作り上げています。この本物志向が何ものにも代えがたい説得力を発しています。

ADVERTISEMENT

■アクション作品に定評のある佐藤監督の手腕

 このオールスター歴史大作のメガホンを1作目から取っているのが佐藤信介監督。ぴあフィルムフェスティバル出身の監督ですが、近年はアクション大作を多く手掛けています。佐藤監督のアクション作品で見ると、最初のビッグタイトルは2011年『GANTZ』2部作。その後2013年と2015年には『図書館戦争』シリーズを撮りました。他にも『アイアムアヒーロー』や『いぬやしき』『BLEACH』などを作っています。生身のものからガジェットを活かしたもの、ソードアクションからガンアクション、1対1、1対多数、多数対多数というバリエーション豊かなアクションをダイナミックに描いてきています。

■心・技・体がそろい観客の心をつかむ

 心・技・体ではありませんが、映画『キングダム』シリーズは人(キャスト&スタッフ)、物(セット&美術)、ストーリー(原作&脚本)が高いレベルで整った、非常に稀有なシリーズです。スクリーンにこれらのことすべてが映し出されるわけではないですが、ちゃんと観客の心に届いていると思われます。また複雑な人間関係が描かれる一方で話の本筋はひとりの少年の成長譚というわかりやすい作りの物語でもあり、主人公・信の成長と、時に見せる超人的な活躍はストレートなヒーローものとしても見ることができます。映画自体も、大画面での劇場体験を得られるシリーズとしてすっかり定着した感があり、『運命の炎』でもIMAXシアターでの上映が予定されています。今夏はコロナ禍が明けてハリウッドブロックバスター作品が多く登場しますが、その中でも『キングダム 運命の炎』は大きな存在感を発揮してくれることでしょう。

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
ADVERTISEMENT

おすすめ映画

ADVERTISEMENT

人気の記事

ADVERTISEMENT

話題の動画

ADVERTISEMENT

最新の映画短評

ADVERTISEMENT