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「どうする家康」信長役・岡田准一を支えた衣装の力 人物デザイン監修・柘植伊佐夫と議論の日々

信長の西洋テイストが取り入れられた衣装
信長の西洋テイストが取り入れられた衣装 - (C)NHK

 松本潤主演の大河ドラマ「どうする家康」(NHK総合で毎週日曜夜8時~ほか)で人物デザイン監修を務める柘植伊佐夫が16日、信長が築城した安土城のお膝元である近江八幡市で開催されたトークショーに織田信長役の岡田准一と制作統括の磯智明と共に出席。人物デザイン監修の仕事から信長の衣装の裏側までを語った。

【画像】黒バージョンの信長

 司会から「人物デザイン監修」という仕事について問われた柘植は「役者の方がキャラクターを演じられていく上で衣装とか、かつら、メイクアップとかを作っていきますね。そういうデザインももちろんしますし、その前段階で、この人物をどういう方向性で表現していったら今回のドラマだと適切なのかっていうコンセプトですよね。そういうものを作ってからデザインを作り、実際形にして制作していって、撮影の現場でいろんなことで変わっていくので、それが過不足なく表現できているかっていうことを、マネージメント、管理していくっていうような感じの仕事ですね。全体的なことです」と紹介。

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 制作統括の磯は、柘植の役割について衣装、かつら、ヘアメイクなどをトータルで考えられることだと強調する。「素敵なデザインをお描きになっていただいますが、柘植さんのもう1つすごいのが、ヘアメイクだとか、特殊メイクの知識がものすごいあるんですよ。もともとヘアメイクのアーティストでいらっしゃって、そこから派生して衣装デザインとか幅を広げたっていうのが柘植さんだと思うんですけど、そもそも時代劇はかつらとメイク、衣装、それぞれ職人がいて、バラバラにやっていたっていう時代があって。そこをトータルでデザインして、どうやったら具体化できるかっていうことまで考えていただける。例えば今、ヘアデザインだと、かつらだけじゃなくてウイッグっていう部分的なカツラもありますが、衣装も染め物をしたりだとか、素材は何にするのか、細かいところまで全ての指示をしていただけるのがすごいなと」

 信長の衣装は赤、黒、金が基調になっているが、柘植はその意図を「最初、岡田さんから“どういうふうに信長を考えているの?”というような打診があって、演出統括の加藤(拓)さんから“ちょっと描いてみてくれないかな”と。その時はまだ脚本もない状態だったんですね。だから今回は『どうする家康』ということを受けて信長ってどんな感じなんだろうっていうことを直感的に描いたのが、黒い信長像と、うつけ者の赤い信長像だったんですね。赤は1番最初のデザインには安土の赤って書いているんですけれど、梁と柱の赤が自分の中ではイメージとしてあって。うつけ者時代と安土城の時代は違いますけど、連動性って言うんでしょうかね。黒はやはり信長って理屈抜きに黒と金のイメージが出てきたんですね」と説明。「最初は情熱的なものだったり、制御しきれない何かだったり、そういうような色ってどうしても赤が1番適切かなっていうところで。あと、うつけ者時代には仲間がいますよね。赤母隊(あかほろたい)っていう。そのイメージにも近づけるような部分も持っていました」と続けた。

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トークショーの記念撮影。左から柘植伊佐夫、岡田准一、磯智明

 後半、信長の衣装が西洋風になっていくが、「信長はよく西洋かぶれみたいに描かれることがあるけど、僕はそういう人だとは思っていない」というのが岡田の考え。「特に安土城なんかそうですけど、今までは防衛をするような城だったのが、今回は宣伝用の城というか結構派手に作っているんですよね。京とか近いところで自分の権力を示すっていうようなことで安土城が作られている、といったことも含めて、西洋の格好をしたくてしている人ではないけど、アピールするためには着たりもするし、実用的にいいなと思ったことは取り入れるっていうのが僕の信長のイメージ。そこで、袴だけは着させてくれとお願いをするんですね。僕は武術とか格闘技やってるので、袴が後ろから斜め前に締めていくっていうことは、日本人の体の使い方、技術的な体の使い方のサポーターみたいな要素を僕は感じていて。その日本文化を捨てていないということで、袴をはき続けているんです。上は変えているんですけど」

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 その言葉を受け、柘植は「西洋的な表現は桶狭間の段階ではまだ早い表現だったんですけれども、家康から見た信長の恐怖というか、強さっていうものを表現する上では、ああいう表現の仕方をするのが1番適切なんじゃないかっていうところでご相談させていただいて。そこから徐々に変化していくにあたって、どうしたらいいんだろうというところで、よく岡田さんと議論をさせていただきましたね。最初に僕が出したのはラッフル襟っていう、いわゆるザビエルみたいな。それのちょっと極端なもので、真っ黒で皮でできているっていうような、さらに前段階のものを強化したような形をイメージとして出してたんですけども、それだったらもう少し王の風格というか包容力というようなかたちに展開していきたいなと。そこから岡田さんと和も取り入れてつくっていったらどうだろうかと。このやりとりは長かったですね」と岡田との日々を述懐。「結果的には洋物も入ってるんですけれども、生地は全部和物なんですね。マントの中の黄土色のジャケットみたいのありますね。あれは生地が和物で、文様になっているところにステッチを入れてキルティングのように見せたり、そういうような工夫をしています」とディテールに至るこだわりも語った。

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 岡田にとって柘植の存在は大きかったようで、「僕らはどうしても着させられていると芝居が浮いていってしまうので、着て慣れていくっていうこともあるんですけど、どうしたら腑に落ちる、違和感がないことをできるかってことを一緒にトータルで考えてくださる。相談相手でもあるし、柘植さんがすごいのは現場にいらっしゃるんです。普通はデザインが上がってオンエアを見て“これこうした方がいいね”とか、データ上でコントロールされる方が多いんですけど、柘植さんは現場でずっとモニター見ながら新しいのを描きながら何か楽しそうに……」と賛辞を送っていた。(編集部・石井百合子)

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