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「どうする家康」光秀役・酒向芳、恥をかいた過去 「見返してやろう」精神で乗り越える

第27回「安土城の決闘」の饗応シーンより明智光秀(酒向芳)と徳川家康(松本潤)
第27回「安土城の決闘」の饗応シーンより明智光秀(酒向芳)と徳川家康(松本潤) - (C)NHK

 現在放送中の大河ドラマ「どうする家康」(NHK総合、毎週日曜よる8時~ほか)で明智光秀を演じている俳優の酒向芳。本作では松本潤演じる主人公・徳川家康にとってヒールに当たる人物として描かれている。明智が主君・織田信長(岡田准一)に叱責される饗応の場面は多くの大河ドラマや映画などで描かれているが、酒向が第27回「安土城の決闘」で描かれた本シーンについて振り返ると共に、自身の俳優人生でバネになったというエピソードを明かした(※ネタバレあり。第27回の詳細に触れています)。

【画像】信長が光秀を滅多打ち!緊迫の饗応シーン

 江戸幕府を開いた徳川家康の生涯を、『コンフィデンスマンJP』シリーズなどの脚本家・古沢良太がつづった本作では、幼少期からさまざまな局面で選択を迫られ続ける家康の苦悩や葛藤を描く。酒向演じる明智は、公式サイトに「家康や秀吉のささいな仕草も見逃さない。信長には媚びへつらうが、その本心はどこにあるのか?」と記されている通り、腹の底が見えない不気味なキャラクターとして描かれている。

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 酒向にとって、大河ドラマは「龍馬伝」(2010年)、「軍師官兵衛」(2014年)、「青天を衝け」(2021年)についで4度目の出演となる。「何回目という実感はないですね。引き受けた仕事が4回目だっただけで、特別な思いはさしてないです。どの作品でも向き合い方は一緒です」とクールだが、「とにかく大河ドラマは、衣装が重い印象がありますね。今回も鎧姿だといろいろ装着すると20キロ近くになる。あとは古沢さんの脚本が、大河っぽくない切り口で面白いと思いました」と印象を述べる。

 酒向と言えば、2018年公開の映画『検察側の罪人』で木村拓哉演じる検事と対峙する殺人事件の被疑者や、「青天を衝け」で吉沢亮演じる渋沢栄一を愚弄する悪代官など、憎々しいキャラクターで注目を浴びた。本作で演じる明智については演出サイドからは“嫌味っぽくてちょっと嫌な人”というイメージを伝えられたという。酒向自身も脚本を読み「いい人ではないんだろうな」と感じたそうだが「演じる人間がいつまでもキャラクターのことを嫌いだと、体に合わない服を着せられているような感じになるので、僕は好きになります」と持論を展開した。

 「でも、ちょっと嫌な奴みたいな役はとても面白いです」と笑い、その理由について「自分の嫌なところって普段出さないじゃないですか。役の力を借りてそれを出すというのは、とても気持ちがいいです」とやりがいを見いだしている様子だ。

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~以下、ネタバレを含みます~

 信長に媚びへつらう明智だが、第27回では安土城にやってきた家康をもてなす席で、明智が出した鯉のにおいに家康が反応したことから信長に蹴り倒され、滅多打ちにされる。

 酒向は「とても緊張感があるシーンでした。明智が人前で大恥をかかされる。そういうとき、人はどうなるのか。例えばキャスティングされて現場に行って演技をした際、監督から『全然ダメだね。降りたら?』と言われた時、どんな気持ちになるのか。期待に応えられなかったという忸怩たる思いを抱くか、大恥をかかされたと思って相手を恨むか。でも、明智の心がどう動いたかというのは、観てくださる方が感じること」と解釈をゆだねる。それでも「わたしにできる精一杯のものを演じたつもりです」と振り返る。

 家康が鯉のにおいに反応したのにはある思惑があってのことだが、その後、明智が家康と対峙する場面について、酒向は「まあ“くそたわけ”という思いですよね。家康がああいう態度をとったことによって、長宗我部追討のために四国に行かされるわけで」と笑うと「あのときの家康は、ふてぶてしかった。それは松本さんがうまくそういう表現をしていたということ。嫌な目をしていましたよ(笑)」と松本の演技に賛辞を送っていた。

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 酒向自身も恥をかいた経験は多々あったという。「僕は以前、オンシアター自由劇場という劇団に所属していたのです。入団したばかりのとき、当時素晴らしい看板俳優さんがいたのですが、その方の側で何かやると『下手がうつる』と怒られて(笑)。恥ずかしくてどうしようもなかった。でも実際、下手なのは事実だったし、何もできないからしょうがない。そんなことはたくさんありました」

 当然のことながら、そう言われれば落ち込むし、やるせない気持ちになる。それでも酒向は「やめてしまってもすることがないので、結局はどうにかして見返してやろう! という思いになる。好きで入った道なので、そう簡単にはやめられないぞという気持ちですね」と当時の心境を述べていた。(取材・文:磯部正和)

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