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インディーズの雄、ジョン・セイルズが3年ぶりに手掛けた移民問題を扱った新作とは?

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ヨランダ・ロス(左)、ジョン・セイルズ監督
ヨランダ・ロス(左)、ジョン・セイルズ監督

 数々の独立系映画を手掛けてきたジョン・セイルズ監督が、3年ぶりの新作『ゴー・フォー・シスターズ(原題) / Go For Sisters』について女優ヨランダ・ロスと共に語った。

ジョン・セイルズ監督映画『カーサ・エスペランサ ~赤ちゃんたちの家~』場面写真

 同作のストーリーは、長い間音信不通だったヘロイン中毒で刑務所を出たばかりのフォンテーヌ(ヨランダ)と、保護観察管のバニース(リサゲイ・ハミルトン)が20年ぶりに再会を果たすが、バニースの息子が殺人容疑に掛けられ行方不明になったことで、二人は協力してバニースの息子を追跡するうちに、メキシコ国境の移民問題が原因であることを突き止めるというもの。

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 製作の起点は移民問題と語るジョンは「今、アメリカに違法入国する人は、メキシコ人よりも中国人の方が多いという記事を読んだんだ。そこには、現在のアメリカの経済状況の中、一度アメリカに来たメキシコ人たちが再び母国に戻っているのに対し、そんな状況にもかかわらず、逆に多くの中国人が違法入国していると書かれていた。実は、このニューヨークのチャイナタウン、カナル・ストリートでも、中国人の違法入国をあっせんしていた中国人女性が捕まった。そんな移民問題と昔友人だった女性二人が再会する設定を描きたかったんだ」と答えた。

 メキシコでの撮影について「我々はメキシコではアウトサイダーで、リサゲイもわたしもスペイン語は話せなかったから、現地では手探りで把握していった。でも、わたしはどこに行っても先入観をできる限り持たず、その場で学ぶようにしている。メキシコでは、中国人の違法入国や不法滞在者について学んだ際に、彼らがどのような苦労をしてこの約束の地(アメリカ)に来るのかを考えさせられた」とヨランダが明かした。

 そんなヨランダは、複雑な女性役がハリウッドでは少ないと言う。「今作のような役を探すのは本当に困難だわ。特にステレオタイプを演じたくない黒人女優にとってはね。だから、ジョン・セイルズのような監督が執筆したこのような役をオファーされることはまるで夢のよう。不幸にも、わたしの周りの黒人女優の間で、こういうオファーは聞かないわ。素晴らしい黒人女優がたくさん居る中で、このような機会が与えられない現実は嘆かわしいわ」と明かし、そんな困難な役を彼女は見事に演じきった。

 映画は、ハリウッド映画では観られないジョン・セイルズ独特のスローなアプローチを通して、移民問題やドラッグの問題を浮き彫りにしている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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