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オンリーワンなアメリカ映画界の異端児、ガス・ヴァン・サント監督の世界とは?

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映画『永遠の僕たち』より
映画『永遠の僕たち』より - (C) 2011 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

 インディーズ(独立)映画の自由な表現と環境にこだわり、独自のスタイルを貫く個性派監督ガス・ヴァン・サントの魅力に迫った。アメリカ映画界の異端児でありつつ、世界的な話題作を送り続ける彼の作品の特徴はマイノリティーの描き方だ。

映画『永遠の僕たち』ギャラリー

 現在はハリウッドから距離を置き、地元のオレゴン州ポートランドを拠点に活動しているガス。そんな彼の作風の最たる特徴は、社会の主流からはみ出した者たち、つまり時代の反逆児やマイノリティーらの生きざまを好んで取り上げることだ。

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 例えば、同性愛者であることを公表した全米初の政治家であるハーヴィー・ミルクの半生を描いた『ミルク』(主演のショーン・ペンがアカデミー主演男優賞を受賞)。さらに伝説のロックバンド、ニルヴァーナのカリスマボーカリストであったカート・コバーンをモデルに、彼が衝撃の自殺に至る数日間を追想した『ラストデイズ』。あるいは、全米を揺るがせたコロンバイン高校の銃乱射事件をモチーフにした『エレファント』など、歴史的なシンボルとなった実在の人物や事件を題材にすることが多い。

 また、『エレファント』ではリアリティーを重視するために素人の高校生たちをキャスティングし、時間軸を操作する複雑な語り口とドキュメンタリータッチを大胆に融合させた。撮影監督を名手クリストファー・ドイルが手掛けた『パラノイドパーク』も同様の方法を応用し、キャストのほとんどはポートランドの現地在住者を起用。そして、加瀬亮が戦死した特攻隊員の幽霊を演じたことでも話題になった『永遠の僕たち』では、日常の中で生と死の境界をふっと飛び越え、リアルとファンタジーを往来する不思議な感覚を見せる。こういったハリウッドメジャーの大作では味わえない斬新で実験的な演出方法にも、ガスの作家性が表れている。

 そんなガス・ヴァン・サントの代表的な監督作5作品を、11月25日~11月29日にWOWOWで一挙放送する。オンリーワンな俊英監督の世界をじっくり味わいたい。(文・森直人)

映画『永遠の僕たち』は11月25日(日)よる9:00よりWOWOWシネマで放送

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