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堤幸彦監督、最新作は「娯楽色のまったくない作品」に!初日あいさつでしみじみ

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左から、鏡開きを行う堤幸彦監督と原作者の坂口恭平
左から、鏡開きを行う堤幸彦監督と原作者の坂口恭平

 「トリック」などで知られるヒットメーカー堤幸彦監督による最新映画『MY HOUSE』の初日舞台あいさつが26日に都内で行われ、堤監督、原作者で小説家の坂口恭平、脚本の佃典彦が登壇し、公開を記念しての鏡開きを行った。

映画『MY HOUSE』初日舞台あいさつフォトギャラリー

 2007年ごろに雑誌で坂口のホームレスに関する記事を目にし「映画化への思いに突き動かされた」という堤監督は「この映画は、これまで自分がたくさん作ってきたような、娯楽色のまったくない作品です。もっと規模の大きな作品にしようといろいろ手を加えた時期もあったけど、そうしたら表現が甘くなってしまって、一度ゼロに戻した。思い起こせばいろいろありました」と述懐。

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 その後、司会者から「監督から見て、坂口さんはどんな人?」と質問が飛ぶと、堤監督は「きわめてラジカルなアジテーター、自由人でいらっしゃって、うらやましい限りです。わたしには、会社も家族もあるので……(笑)」とユーモラスにコメント。0円で家を建てるという斬新な考えを世の中に提唱する坂口は、建築家でもある。堤監督のその言葉を聞くと、「いや、僕も家族がいるんですけど……」と返して二人で笑い合った。

 その坂口は、「この映画の撮影開始が、(2011年の)3月9日だった。僕はその前の3月3日ごろに、(映画の主人公のモデルとなった)鈴木さんを紹介する番組に出ていた。そのころ『原発はおかしいのでは。大丈夫か?』と言っていたんです。その後撮影が始まって数日後に原発が爆発した。撮影中は(映画の世界と現実の)どちらが本当なのかわからなくなっていましたね」と震災とほぼ重なってしまった撮影時期を振り返っていた。

 本作は、坂口の著書「TOKYO 0円ハウス0円生活」「隅田川のエジソン」を原作に、堤監督が「死ぬまでに自分の納得する作品を年に1本くらいは残したい」という思いから作り上げたモノクロ映画。自らの意志で路上生活を続ける主人公の男・鈴本(いとうたかお)とパートナーのスミちゃん(石田えり)をメインに、潔癖な主婦・トモコ(木村多江)、学校と学習塾を往復する中学生・ショータ(村田勘)らのドラマが展開する。実在の人物をモデルにした主人公の暮らしを通し、物にあふれた暮らしの中で“本当に必要なものとは何か”を問う意欲作だ。(古河優)

映画『MY HOUSE』は全国公開中

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