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東日本大震災以降、外国人旅行者が減少したことに心を痛めたスイス人男性を追ったドキュメンタリー

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スイス人クリエーター、クヌーセル兄弟
スイス人クリエーター、クヌーセル兄弟 - Photo:Miyuki Takamatsu

 東日本大震災以降、日本を訪れる外国人旅行者が減少している状況に心を痛め、日本がいかに安全かと、日本列島を横断しながら世界に向け情報発信していたスイス人男性トーマス・コーラ氏(44才)が2月6日に、スイス大使館で観光庁から感謝状を受理、そのコーラ氏を追ったドキュメンタリー『negative:nothing-全てはその一歩から』を製作しているスイス人クリエーター、クヌーセル兄弟が製作秘話を語った。

 スイス・チューリッヒの大手ツアーオペレーター会社で日本ツアーを担当していたトーマス・コーラ氏だったが、昨年の東日本大震災の影響で仕事が激減し職を失い、再就職をする代わりに徒歩で日本列島横断を決意、テントと寝袋一つ、パソコンを駆使し、各地の風景や出会った人たちとのふれあいを自らのブログで紹介していた。

 昨年8月1日に北海道の宗谷岬を出発、新潟県の糸魚川などを経て、12月31日に鹿児島県の佐多岬に到着したが、その途中、スイスのWEB編集者ヤン・クヌーセル氏との交流が始まり、ニューヨークで映像制作に携わっている兄・シュテファンと昨年11月に突如コーラ氏のドキュメンタリーを撮ることを決意し、今回コーラ氏の来日に同行している。

 コーラ氏との出会いについて、彼らいわく「ある日突然、コーラ氏からメールが来て“僕が歩いている日本を君のWEBサイトで書いてくれ”と言われた。そうして、彼をブログで追いかけていたんだけど、彼が旅を通して出会う人たちの日本人の優しさがにじみ出ていて、いてもたってもいられなくなった。兄にこの話をしたその1週間後には、僕らもカメラ一つ抱えて日本にいるコーラ氏を追いかけていた」

 日本横断時のコーラ氏は、日本語、英語、独語のブログを毎日更新し、日本の今の姿を世界に発信し続け、ブログアクセス数は最終的に13万件を越え、行く先々のマスコミ取材の依頼にすべて応じ、見事に2,900キロを完歩した。ウルス・ブーヘル駐日スイス大使は、「トーマス氏の行動はたたえられるべきものだ。彼のおかげで、世界の人々が、日本が観光やビジネスに向いていることを知り得た」とコメントし、感謝状を手渡した溝畑宏観光庁長官も「日本の今の姿を広く世界に伝えてくれたことに心から感謝したい。われわれ日本人にも改めて日本の良さを気付かせてくれた」と述べた。

 クヌーセル兄弟は、本作に関して「今後も、東日本大震災に関する衝撃的な映像や当時の惨状を映し出した映画がどんどん紹介されると思うが、僕らは純粋に“日本の素晴らしさ”をアピールしたい。日本人でさえ忘れがちになっている日本風景をコーラ氏を通して、もっと感じて欲しい」。なお、本作の一部は来月開催されるベルリン国際ツーリズム・マーケット展の日本観光庁ブースで世界初お披露目になることが決定、今後は世界の映画祭への出品を検討している。(高松美由紀)

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