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シャイで謙虚な英国紳士!『英国王のスピーチ』のコリン・ファースにオスカー直前インタビュー

第83回アカデミー賞

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謙虚でシャイなコリン・ファース
謙虚でシャイなコリン・ファース - Matt Carr / Getty Images

 第61回ベルリン国際映画祭にトム・フーパー監督映画『英国王のスピーチ』で参加中のコリン・ファースに、アカデミー賞発表まで残り数日あまりという今現在の心境を聞いた。主演男優賞最短距離にいると言っても異論を唱える人はいないであろうファースだが、外野の喧騒に比して意外なほど静かな胸中を明かしてくれた。

 本作は、吃音をかかえたジョージ6世(コリン・ファース)とスピーチ・セラピストのライオネル(ジェフリー・ラッシュ)の物語。ジョージ6世は、次の国王として育てられた兄の影で、幼い頃から、厳しい左利きの矯正、痛みを伴うギブスでのX脚の矯正と、ありのままの自分を否定されるかのように育てられる。結果、上手く話すことの出来ない内気なプリンスとなった男が、兄(ガイ・ピアース)の“王冠をかけた恋”として知られる恋愛によって、思いがけず王位につくこととなってしまう。王妃(ヘレナ・ボナム=カーター)の前で幼子のように涙に暮れることもあったジョージ6世が、戦時の国民を励まし続け、最も愛されたイギリス国王となるに至った始まりが描かれる。

 コリン・ファースは、昨年度の『シングルマン』での多数のノミネートと受賞に続き、今年度の本作ですでにゴールデン・グローブ、BAFTA(イギリスのアカデミー賞)と次々と大きな主演男優賞を獲得している。着実に俳優としての歩みを進めているようだ。「そんなことはない。何と言っても役だよ。いい役がきたというだけのこと」というのが本心としたら、いい役が続けてくるのは運命なのだろうか。「そうも思わないな。たまたまだよ。次の役では失望させることになるかもしれないし」と満更謙遜でもなさそうに、ゆったりと語るファースから気負いは感じられない。

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 本作についてもファースは「問題を抱えた王の話なんて、最初から賞がとれるようなものだ、なんて言う人もいるけど、それも違うと思う。売り出すということから言えば、映画は少なくとも1人は若い人がいなくちゃいけない。子どもじゃないよ。きれいな若者ということね。それは僕ら出演者みんな、すてきな年寄りだけど(笑)、せっかく美しいヘレナが出てるのに、美しさを強調するようなこともない。ラブシーンも、アクションシーンもないんだ。2人の中年男の友情の物語だ。僕とジェフリーが10分もただ話すだけのシーンだってある。売れる線では全くないよ」とむしろヒットする要素の少ない映画と位置づける。もう間近に迫ったアカデミー賞発表に向けても特別な心構えもないという。「未来のことに焦点を合わせて、そこに向けて何かするなんてことはできない。先週、BAFTAをもらったばかりで、まだ、そちらで熱くなってもいるしね」と手にしたばかりのBAFTAの重さを、かみしめている段階のようだ。

 過熱していくようなオスカーへの期待の渦中にいる人とは思えないファースから、フーパー監督が言った配役の理由がよみがえった。「ジョージ6世とファースには似たところがある。2人とも周りの人に優しく、とても紳士的だ。偉ぶったりもせず、つつましい。それにジョージ6世は戦争の真っ只中の時期でさえ全く変らなかった。ファースにも、そんなところがある」(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)

『英国王のスピーチ』は2月26日より全国公開

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