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ヴェノム (2018):映画短評

ヴェノム (2018)

2018年11月2日公開 112分

ヴェノム
(C) &TM 2018 MARVEL

ライター7人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

山縣みどり

シネマティック・ユニバースに疲れた人に!

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

毛利元就の三本の矢的にチーム力重視の最近のアメコミ映画は、見逃すと追いつけないことも!? だからピンで楽しめる上、コミカル要素も多い本作は大歓迎。正義漢のジャーナリスト、ブロックと凶悪なヴェノムが最初は反発するも徐々に共生の可能性を見出すさまは、結婚生活が長い老夫婦のよう。ヴェノムは皮肉屋だがブロックに的確な恋愛アドバイスまでするほどで、人間の頭を食いちぎるけど意外にいいやつ? ボディスナチャーものとバディものを融合させた点が非常にユニークで面白い。声を変えて二役を演じるトム・ハーディーが大熱演。彼自身も挑戦したバイク・スタントや格闘シーンも迫力たっぷりだ! 

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

バイオレンス描写にはPG-13ゆえの限界も

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 人間に寄生する邪悪な人喰いエイリアンが、正義感の強いジャーナリストと一体化。世にも危険なアンチヒーロー、ヴェノムとして巨悪に挑む。「マーベル史上最も残虐」との触れ込みだが、しかし蓋を開けてみればバイオレンス描写はかなり大人しい。これはR指定を避けたいスタジオ側の意向を汲んでのことだが、『ゾンビランド』のルーベン・フライシャー監督にとって不本意であろうことは想像に難くない。ストーリーも予定調和が目立つものの、ヴェノムのグロテスクなキャラ造形はやはり魅力的だし、仕事は出来るが私生活はダメ人間な主人公に扮するトム・ハーディも好演。『スパイダーマン』との絡みも予定される今後のシリーズに期待したい。

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猿渡 由紀

超実力派が贈るB級映画

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

「エイリアン」を思わせるSFホラー風の要素があるかと思えば、バディコメディのようなユーモアもあり、お決まりではあるが迫力は十分あるカーチェイスシーンもあって、盛りだくさん。しかし、恋愛の部分は信憑性がなく、取って付けたような感じが否めない。あの役にミシェル・ウィリアムズは必要なかったのでは。役者にしても、CGにしても、クオリティは高いだけに、実力派が贈るB級映画というところかも。楽しいことは楽しいが、スーパーヒーロー映画がこれだけある中で、「デッドプール」や「アントマン」のように独自の存在意義を証明する作品になったとは言い難い。

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相馬 学

アンチヒーローか、悪に徹するか!? とにかく楽しみ!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 マーベルコミックのヴィランを主人公にしたとはいえダークなトーンは控え目で、むしろ痛快さを感じさせるエンタテインメント。

 肝は人間側のダメ男と異星生命体側のダメ男ヴェノムが合体して最強になる点。なぜそうなるのかに説得力がなく、ヴェノム側のダメ描写も弱いが、豪快なアクションに身を任せればそれも気にならない。

 何といっても合体ヴェノムのビジュアルがイイ。最初こそ奇怪だがキャラを理解するにつれて愛嬌も出る。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』以来、“一見タフだが実はダメ”キャラが板に付いてきたT・ハーディのイイ仕事。アンチヒーローとして成長するか、悪の道を行くか、今後も楽しみになってくる。

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くれい響

一人芝居も楽しめる“トムハ版『寄生獣』”

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

確かにストーリーは既視感があるうえ、弱いのは否定できないし、ラスト以降の過剰すぎるファンサービス(=宣伝)には、若干の疑問が残る。とはいえ、過大評価気味なルーベン・フライシャー監督作にして、今回はトム・ハーディという素材を十分に生かし切っており、ブラックコメディ要素も強いダメ男の成長物語という点では、“ハーディ版「寄生獣」”といえるだろう。誰もが期待していたホラー色は薄めだが、『死霊のはらわたⅡ』のブルース・キャンベルにも匹敵するハーディの一人芝居も楽しめる。サンフランシスコ繋がりでいえば、『アントマン』好きにもおススメであり、なんだかんだ続編が楽しみな一本に仕上がっている。

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平沢 薫

ヴェノムは"形"で自分が何者なのかを宣言する

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ヴェノムの真髄をその形状、変形ぶり、動きによって表現する---映画がR指定にできなくなった時、本作が選んだ戦略はこれだったのではないか。
 黒く禍々しく凶暴なものが、夜の闇の中で異様な形に膨れ上がっていき、一気に解き放たれる。その時、それは嫌悪を招く邪悪な姿と化して強大な殺傷力を発揮し、暴力というものの愉悦に浸って、細長い舌を喜びにはためかせる。闇の中で鈍く光を放つ質感や、変形後の短い一瞬、歌舞伎の見得のようにその姿を誇示するという演出もヴェノムに似合う。禍々しいのにどこか笑えるテイストは健在。課せられた制約の中、ヴェノムが、自身の"形"によって自分が何者なのかを宣言してみせる。

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斉藤 博昭

「最悪」というより、どちらかと言えば「最高」じゃないか!?

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

人間にとって最悪な敵キャラである、寄生する前の生命体は、その質感や動きのビジュアルが見事なまでに不気味。寄生されて突然、超人パワーを発揮し、邪悪な心に支配されていく主人公の困惑ぶりも、トム・ハーディが味わいのある演技でみせ、納得である。そしてこの一心同体によって、やがて最悪なヴェノムに観客の心まで同化させる方向にもっていく。この流れがあまりに自然で、悪がヒーローへと変貌する怪しい快感がもたらされるのだ。10年前の日本の女子高生のようなミニスカートで奮闘するM・ウィリアムズも微笑ましい限り。

ただし、エンドロールの異様な「遅さ」と、その後の長すぎるオマケ映像で作品自体の満足感が遠のくのが残念。

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